世界三大広告代理店のひとつ、英国WPPグループの最高経営責任者マルティン・ソレル氏が、同社に採用される人々の資質の「トップ7」をLinkedInにまとめています。(文:夢野響子)
1.「論理的思考」の左脳と「感性的な右脳」の両方を使えること
私たちの世界はますますデータに支配されていますが、ソレル氏は「帳票の数字を読めるだけではもはや不十分」と指摘します。「論理」や「金融リテラシー」「細部を見る眼」と同様に重要なのが、「判断力」「創造性」「直感」「想像力」。それらが技術革新を可能にするからです。これはほとんどすべての業界に当てはまります。
2. 議論する能力
他人の同意が得られないのは快適なことではありませんが、ソレル氏は「議論は、全員合意よりも建設的なものです」と指摘します。リーダーが同意者だけに囲まれていたら、何も学ぶことはできません。能力のある人は自らの立場を保って、自分の主張の正しさを論理的に説明できます。
3.国際的な見地をもつ
キャリアを向上させるためにはどうすべきかと尋ねられると、ソレル氏はいつも「中国語とポルトガル語を学びなさい」と助言するそうです。グローバル化された世界では、中国やブラジルのような新興大国の言語を話すことは強い競争力になるからです。でもそれだけでは足りません。スキルより見通しの方が大切です。
トップを目指す人はいつも好奇心旺盛で、外向的で国際的な視点を持っています。アイデアが数秒で地球を駆け巡る時代に、狭い思考でいる余裕はもうないのです。
4.早期にものごとを吸収する
好奇心のある人々は、さまざまな物を巣に集めてくるカササギのように、絶えず新しい技術や新しい考え方、新しいトレンドに惹かれます。古いことを放棄するという意味ではありませんが、彼らは現状に満足しません。絶えず学びを止めることなく、ビジネスを前進させ続けるとソレル氏は言います。
5.意思決定が速い
ソレル氏は「月曜日の不完全な決定は、金曜日の完璧な決定よりも優れている」と断言します。戦略は重要ですが、実施されなければ何にもなりません。完璧な戦略にこだわっているうちに、他人は行動し、前進しているのです。
6. 「蝶」にならないこと
英語の口語で「胃の中に蝶がいる」と言えば、緊張でドキドキする状態を指しますが、ここでは、蝶のようにあちこち飛び回って、一つの組織や目標にコミットせずに、移り気に次の機会に飛びつくな、という意味のようです。蝶の羽は輝いていて成功者のように見えますが、永続的な影響を残すことはありません。
ソレル氏は父親から「楽しめることを見つけて、それにこだわり、その分野での評判を築きなさい。そこから独立独歩の道を踏み出しなさい」と言われたと振り返ります。
7. 「勝とう」という意思
ソレル氏は「勝ち負けを本当に気にする人を探している」と言います。自分の会社が事業の一部を失ったり誰かが退職したりすると、彼にはとても個人的に響くようです。負けた経験は、30年経っても忘れられないそうです。
サッカー・リバプールFCの黄金時代を築いた伝説的監督、ビル・シャンクリーは「サッカーを死活問題だと思っている人がいる。私はそれ以上だと証明できるよ」と言ったそうです。ソレル氏もWPPについて、そのように感じているということです。
(参照)7 Qualities That Will Get You Hired (LinkedIn)
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