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【F1新車】新哲学によるMP4-30は「ドライバーに優しい車」

2015年01月30日 02:10  AUTOSPORT web

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マクラーレン・ホンダMP4-30
マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエが、チームは2015年型F1マシンMP4-30の開発において、今までとは全く異なる新しいF1デザイン哲学を採用したと語った。

 29日、マクラーレン・ホンダは2015年を戦うマシンMP4-30を初披露した。

 新車のデザインコンセプトについて説明するなかで、マクラーレンは昨年までとのフィロフソフィーの違いについて次のように述べている。

 マクラーレンはこれまでダウンフォースの最大値を達成しようとする傾向にあったという。
 しかしそうした場合、風洞ではいい数値が出ながらもコース上ではそれに見合うパフォーマンスを発揮しないようなマシンが生み出される可能性があるという。そういうマシンは、パフォーマンスに一貫性がなかったり、ダウンフォースがある限られた状況でしか発揮されない。

 マクラーレンはこういった状況を経験してきたが、レッドブルで活躍したピーター・プロドロモウがチーフエンジニアとして加入し、彼が新たなアプローチを採るという考えを示したことで、チームはそれまでの傾向を変えることになった。

 これまでのようにダウンフォースの理論上の最大値を目指すのではなく、有効なダウンフォースを最大限活用するという方向に変わったという。
 たとえば、750kgのダウンフォースの80パーセントしか活用できないよりは、700kgのダウンフォースを100パーセント活用できる方がメリットがあるということだ。

「ドライバーに優しい、扱いやすいマシンにするというコンセプトは新しいものだと思うし、それが新たなフィロソフィーの一部だ」とブーリエは言う。

「ドライバーたちがマシンの能力を限界まで引き出すことができるようにすることを心がけている。性能のいいマシンがあってもドライバーが乗りこなせないのであれば、無駄になってしまう」
「ドライバーたちが限界までプッシュできるマシンにしたい。それでこそ、マシンの力を最大限に引き出せる。新しいフィロソフィーはこういった方向を狙ったものだ」

 全体の哲学だけでなく、マシンのパッケージングに関しても変化があったという。それは今年マクラーレンでの6年目を迎えるジェンソン・バトンも感じており「今年のマシンは過去2年のものとは全く違う」と話している。
「メカニックたちは、さまざまな部門がさまざまなパーツを作ってそれをひとつにしたというより、すべてがうまくフィットしていると話している」

「ファクトリーのスタッフの中には、マクラーレンが作った最もエキサイティングで優れた造りのマシンのひとつだと言う者もいる」とブーリエは言う。

「そうはいっても、現実的に考えなければならない。何が起きているのか、自分たちのパフォーマンスはどれほどのものなのか、自分たちはどれぐらいの成功を収められるのかをきちんと見極める必要がある」

 マクラーレンはヘレスでの今年最初のテストでも開幕戦でもMP4-30にアップグレードを加える予定だということだ。