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おつりで受け取った硬貨に「ウォン」が混じっていた・・・渡した側は罪に問われる?

2015年01月29日 11:31  弁護士ドットコム

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商品を購入した際に、何気なく受け取っているおつりの硬貨。しかし、中には海外の硬貨が混じっているケースもあるようだ。


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元「モーニング娘。」でタレントの田中れいなさんは、財布を整理した際に「100ウォン」とみられる硬貨を発見したのだという。1月上旬のブログに「なんこれ??!! 100円玉の様子がおかしくない?!」「おつりもらったとき騙されたか?!」と書き込んでいた。



田中さんのほかにも、屋台で受け取ったおつりの中に、日本の硬貨に似ている韓国のウォンが混じっていたと、ネットに投稿している人がいる。ウォンの通貨価値は、現在の為替相場だと、円の約10分の1だ。500ウォンだと、50円にしかならない。となると、わざとウォンをおつりとして渡しているケースもありそうだ。



このように「海外の硬貨」をおつりとして渡した場合、罪に問われる可能性があるのだろうか。高木良平弁護士に聞いた。



●わざと渡した場合は「詐欺利得罪」


「仮に海外の硬貨を渡したとしても、気付かずに渡している場合には、犯罪は成立しません。差額の支払い債務等の民事上の責任が生じるだけです。



これに対して、意図的に渡している場合は、詐欺利得罪が成立することがあります。刑法246条2項なので『2項詐欺罪』とも呼ばれます」



詐欺利得罪とは、どんな犯罪なのだろうか。



「詐欺利得罪は、次の要件で成立します。


(1)人を欺いて


(2)錯誤に陥れ


(3)この錯誤による瑕疵ある意思に基づいて財産上の利益を移転させ


(4)財産上の利益を取得すること


です」



なんだか難しいが、どう考えればいいのだろうか。



「たとえば、お釣りで、わざと500円硬貨の代わりに500ウォン(約50円相当)硬貨を渡したというケースで考えてみましょう。客が騙されて、500円硬貨と勘違いしたまま帰ったような場合です。



これを、さきほどの要件に当てはめてみましょう。



500円と間違わせるために、500ウォン硬貨を混ぜることが『(1)欺く行為』です。


客が500ウォン硬貨を500円硬貨と勘違いしたことが『(2)錯誤に陥れた』ことになります。



500円硬貨を受け取ったと勘違いしたために、500円と500ウォンの差額を請求することなく客が帰ったのであれば、『(3)錯誤による瑕疵ある意思に基づいて財産上の利益を移転させた』と考えられます。



さらに500円と500ウォンの差額約450円を得したことが、『(4)財産上の利益を取得した』となります。



こうして詐欺利得罪が成立し得るでしょう」



高木弁護士はこのように締めくくった。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
高木 良平(たかき・りょうへい)弁護士
2006年、弁護士登録。マイケル・ジャクソンさんが全面無罪判決を勝ち取った刑事裁判により、無罪推定の原則の重要性と冤罪の撲滅に目覚め、主に刑事事件を取り扱っている。ジャクソンさんの追悼番組等にも出演している。
事務所名:桜丘法律事務所
事務所URL:http://www.sakuragaoka.gr.jp