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イスラム国の黒服“処刑人”は元売れないラッパー?

2015年01月26日 20:11  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

イスラム国の黒服“処刑人”は元売れないラッパー?

 過激派組織『イスラム国』に邦人男性2人が拘束されている件で、24日同組織が拘束している後藤健二さんの画像と声明および、湯川遥菜さんと見られる人物の遺体の画像を公開したことで、事件に対する世間の関心がさらに高まっている。


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 そんな中、同組織が20日に公開した映像に登場する黒服の男が「Jihadi John/ジハーディ・ジョン(意味:聖戦士ジョン)」と呼ばれる人物と同一の可能性が濃厚になっている。


 スポーツ報知1月25日の報道によると、警察庁の科学警察研究所の分析で、以前米英人を相次ぎ処刑した処刑人ジハーディ・ジョンの声紋と20日に公開された声紋が酷似しているという。
声紋以外にも、これまで米英国人処刑の際に公開された映像から、彼が立っている時の癖などと照合し、同一人物ではないかという意見は早くからネットなどで囁かれていた。


■イスラム国の処刑人『ジハーディ・ジョン』とは?


 ジハーディ・ジョンは、ロンドン訛りの英語を喋ることから、英国人である可能性が以前から指摘されている。
なお、「ジハーディ・ジョン」という名は本名ではなく二つ名で、英国を代表するバンド『ビートルズ』のジョン・レノン氏からとって、そう呼ばれるようになったと言われている。


 彼の素性は正式には明らかとされていないが、海外メディア複数によると、2013年頃までロンドン西部に住んでいたヒップホップアーティストの「Abdel-Majed Abdel Bary/アブデル・マジェドアブデル・バリー」と報じられている。


 アブデル・マジェドアブデル・バリーは、1990年生まれで、現在24才から25才。英国でラッパーとして活動した経歴があり、アーティスト活動では「Lyricist Jinn/リリシスト・ジン」「L Jinny/L・ジニー」という名も使用している。


 エジプト出身の父をもち、父はイスラム過激派『アルカーイダ』のメンバーと言われており、1998年のケニアとタンザニアの米国大使館爆破事件に関与したとされ逮捕されている。彼は、その時の事を後にラップにして度々発表している。
10代後半頃から音楽活動を積極的に行っていたようだが、2013年7月1日、引退を突然発表。その直後、英国を出てイスラム国に合流し戦闘に加わったとされている。


 ちなみにラッパーとしての人気は当時あまり高くなかったようで、知られるようになったのは、皮肉にも彼が「ジハーディ・ジョン」と疑われ出してからのようだ。なお、彼により処刑された人数は、昨年映像が公開されたジャーナリスト含め少なくとも5人と言われている。


■「ジハーディ・ジョン」は負傷している?


 20日に公開された、身代金を要求する犯行声明で彼は普段どおりの姿をみせているが、海外メディアの昨年の報道によると、昨年11月15日頃行われた米軍などの空爆により、彼は負傷し病院に担ぎ込まれたという話があるそうだ。
真偽については確認できていないそうだが、イスラム国の指揮官など含め10人以上が死亡する大規模な空爆だったという。


 その時担ぎ込まれた病院では「Jalman Al-Britani/ジャルマン・アル・ブリタニ」という偽名が使われている。病院の記録によると「ジャーナリストを殺害した人物」と書かれていたという。


■湯川さん殺害画像に対するネットの指摘


 この件と関わりがあるかは不明だが、24日午後11時頃公開された、後藤さんが手にもっていた湯川さんの遺体とされる写真。
この背景を見た人達が、違和感をネットにいくつか投稿している。


 湯川さんの遺体の背景には耕した畑と、端に広がる緑が見える。実は撮影場所とされる地域は現在冬。場所によっては雪が降ることもあるという。
そのため、こうした緑はあまり見られないのではないか?と疑問視する人が多く存在しており、「湯川さんの遺体写真は合成」、もしくは「殺害した時期が異なるのではないか?」という意見が出ている。