NHKの朝の情報番組「あさイチ」(1月26日放送)で、子育て中の女性が感じる「いい母プレッシャー」が取り上げられた。「いい母でなければならない」という考えにとらわれて、精神的に辛くなってしまうというものだ。
番組が子育て中の女性に調査したところ、9割が「自分はいい母じゃない」と思っており、そのうち7割が「いい母プレッシャー」を感じていると回答。かなりの数の母親がプレッシャーによって自己否定的になっているようだ。
専業主婦もプレッシャー「私、くすんだ存在なんだ」
具体的に「いい母プレッシャー」とはどんなものなのか。番組で紹介された43歳の女性の例では、周囲の何気ない言葉に苦しめられているという。
子育てでフラフラなのに、実母から「お母さんなんだから頑張りなさい」と言われて精神的に追い込まれた。子どもが保育園に上がると、今度は保育士の育児アドバイスが「いい母と思われたい」とプレッシャーになったという。
最近流行りの「怒らない子育て」も、母親の自己否定感を強めることがある。5歳の男児を持つ40代の女性は、仕事で部下を教育してきたのだから、子どもを叱らず褒めて育てることも余裕だと思っていた。しかし現実は、言うことを聞かない子どもにマジギレする毎日。
「40後半にもなって、自分の感情もコントロールできなくて情けない。親になる資格があるのか」
といつも落ち込んでしまうのだそうだ。
ワーキングマザーの増加もプレッシャーだ。仕事を辞めて育児に専念していた女性は、大学時代の友人から子育てと仕事を両立させて充実していると聞かされ、自信喪失。「私、輝いてないんだ。私、くすんだ存在なんだ」と思ってしまった。
「ママ友ブログは飾り立てているから鵜呑みにしない」
この女性は「経済的に自立した女性」が理想の母親像だといい、現在復職に向けて動いているが、一方で子どもと接する時間が減ることに罪悪感もあるという。
こうした「いい母プレッシャー」は一体どこから来るのか。番組が行ったアンケートで最も多かったのが「自分の価値観」で54%。多くの人が自分で理想の母親像を作り、それに苦しめられていることがわかる。
ただ、「自分の価値観」といっても、実は育児雑誌やママ友から知らず知らずのうちに刷り込まれたものという可能性はある。番組では「ネットから離れることでプレッシャーから開放されました」という視聴者メッセージも紹介されていた。
この視聴者は、以前はSNSでママ友がキャラ弁などを頑張っている姿を見て落ち込むことが多かったが、ネットを離れて落ち着いたという。
最近はママ友同士がFacebookでつながり、他の母親と自分を余計に比較してしまうこともあるのだろう。「ブログは飾り立てている姿だから鵜呑みにしちゃダメ」というメッセージもあった。これには現在ママタレントとして活躍する小倉優子さんも、スタジオで頷いていた。
情報化社会で「普通の母親」のハードル上がる
ネットでは「いい母プレッシャー」について、主に女性から「これわかる!」「いい母目指して自己嫌悪はよくある」と、共感の声が相次いだ。
また、「完全に情報化社会と日本人の気質が悪影響及ぼしあった結果だなぁ」という指摘も。テレビやネットなどで「デキる母親」の情報がたくさん流れている影響で「普通」のハードルが上がってしまっている、というのだ。
ちなみに、番組が夫を対象にした調査では「妻を『いい母』だと思う」と回答した夫は67%だったのに対し、「妻はプレッシャーを感じている」という回答は23%しかなかった。最近は育児に参加する「イクメン」も出てきているが、妻の辛さに想像力を働かせる男性がもう少し増えてもいいかも知れない。
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