2015年のスーパーGT300クラスに、トヨタ86のマザーシャシーで参戦するつちやエンジニアリング。チームを率いる土屋武士は25日、自身のブログでドライバーとチーム体制について明らかにした。
つちやエンジニアリングは、JGTC全日本GT選手権時代の1997年~99年、GT300クラスでチームがオリジナルの改良を施したトヨタMR2を走らせ、無類の強さを披露。GT500クラスでも勝利を獲得しながらも、2008年にスーパーGTでの活動をいったん休止することになった。
しかし2015年に向けて、チーム代表であった土屋春雄の息子であり、レーシングドライバーでもある土屋武士が、つちやエンジニアリングを再始動。2015年のスーパーGT300クラスに、マザーシャシーのトヨタ86を使って復活する。
土屋は12月の時点でオートスポーツwebに対し、メーカーの後ろ盾をもたずとも、日本のものづくりを活かし勝利を目指す“最強プライベーター”を目標とした今季の復活を宣言。ただ、その段階ではチーム体制については不透明な部分が多いと語っていた。
そんなつちやエンジニアリングの復活初年度の体制が、栄光のカーナンバーである“25”の日である25日に明らかにされた。チーム名は『VivaC Team TSUCHIYA』。ドライバーは土屋自身と松井孝允、チーム監督は土屋春雄となった。参戦はシリーズ全戦となる。
ドライバーとして多くの経験をもち、マカオGTカップでも実証されたとおり、土屋のドライバーとしての参戦はすぐに納得がいくものだ。土屋はエンジニアとしても経験を持っており、セットアップも素早く進んでいくはず。
そして、そんな土屋が長年手塩にかけて育ててきたドライバーが松井だ。「FTRS(フォーミュラトヨタ・レーシングスクール)で担当講師になってからもう10年になりますが、才能だけをとったら充分日本のトップになれるものを持っていると確信しています」と土屋は松井について語る。
速さはありながらも、さまざまな理由で上に上がれないドライバーは数多くいる。松井はそんなひとりだったが、土屋が「埋もれさせてはいけない」という想いで育て上げ、今季スーパーGTというレースに、プロとしてデビューさせる存在なのだ。
また、チームタイトルスポンサーとなったVivaCは、これまでも土屋をサポートしていたグローバルな建設機材の販売・リースを行う企業。その他にも土屋の『技術とスピリットの伝承、継承』という熱い想いに応えた企業が新生つちやエンジニアリングをサポートする。
とは言え、多くのスポンサーがつきながらも「正直、スポンサーフィーは“家が買えるくらい”足りてませんが……(笑)」と土屋は言う。それでも参戦を決断したのは、「やるなら徹底的にやろう。資金が足りてなかろうが、今年に今後の5年、10年の未来をかけてやってみよう」という想いからだ。
かつて、自身がドライバーとして挑戦すべく、2000年に自費でフォーミュラ・ニッポンに参戦し、その後の活路を切り拓いた経験をもつ土屋。今回のスーパーGT復活も、それと同じような感覚だという。この挑戦が今のGT300でどんな存在となっていくのか。スーパーGTファンのみならず、モータースポーツファンにとっても非常に楽しみな存在だ。