サラリーマンや主婦が空いた時間を使い、特技を生かした副業を行う動きが広がっているという。2015年1月22日放送の「ワールド・ビジネス・サテライト」(テレビ東京)では、「空き時間を売る」新しいビジネスを特集していた。
東京・杉並区に住む主婦の知子さんは、家事を仲介するサイト「エニタイムズ」に登録している。「好きなことをやってお金をいただくので、楽しんでできる」仕事なのだそうだ。
1週間分の料理が食材込みで7500円
夫を会社に送り出して家事を終えると、知子さんは午後3時ごろ、料理の下ごしらえをして独り暮らしのTさん(28歳)のお宅へ向かう。ノートに書き出したメニューから選んでもらい、夕食の食事作りが始まった。
Tさんは外資系証券会社のシステムエンジニア。栄養面を考えて料理の出張サービスを依頼している。夕方帰宅して夜8時から自宅で仕事をするため、その合間を縫っての夕食だ。
知子さんは自宅で料理教室を開くほどの腕前で、家庭料理には自信がある。この日はチンジャオロースなど、自宅で仕込んできたものを含めて1時間で5品を作った。朝と夜、1週間分の料理を、食材費込みの7500円で引き受けたという。
登録は無料だが、契約時に15%の手数料をエニタイムズに支払う仕組みだ。個人と個人の契約が基本のため、家事代行業者よりも安くなるのが強みだという。2013年設立のベンチャーで、主婦や仕事をリタイヤした人など700人が登録し、家事サービスを仲介している。
「アルバイトやパートは、時間や場所を拘束されてやりづらい。空いた時間で、好きな場所で働くことができて、潜在的な需要を引き出せている」
エニタイムズの角田千佳社長(29歳)は、こう語る。今後も需要が増えることを見越して、スマホアプリも開発したそうだ。
お金よりも「自分の市場価値を確認する場」
サラリーマンの登録が多いサイト「タイムチケット」は、プログラミングやセールストークのコツ、起業の仕方など、自身が持つノウハウを30分単位で教えるレッスンを仲介している。
会社員のKさん(22歳)は休日に六本木のカフェを訪れ、初対面の男性に30分1000円でコンピューターのプログラミングを教えていた。「優しく丁寧に教えてくれて、気軽に日程調整できる」と受講者にも好評だ。
契約成立時に3割の仲介手数料を支払うことになっているため、手取りの収入はそれほど多くはない。Kさんは「(目的は)自分の持っている価値を誰かに提供する、キャリアアップ、スキルアップですね」と話す。
登録しているサラリーマンは、自分の能力が社会でどの程度必要とされているかを見極めることができるという。サイトの開設者でベンチャー企業のレレレを運営する山本大策社長はこう説明した。
「独立するきっかけとして、タイムチケットを売って、自分の市場価値を確認する場に使っていただければなと」
睡眠時間や遊びに行く時間を削らずに月5万円
東京で歯科衛生士として働くエミさんは、自宅にいながら利用できるサービス「カフェトーク」に登録している。ヨガやチェスといった趣味などのレッスンを仲介するサイトで、エミさんは特技の書道を生かしてペン字の講師として活躍している。
受講者にはメールやインターネット無料通話で、週末や平日の夜に指導を行っている。専門学校時代に書いた習字が国立美術館に展示されているエミさんは、その腕前を生かして稼ぐことはできていなかったが、いまでは月に5万円ほどの副収入になっているという。
「睡眠時間や遊びに行く時間を削ったりはせず、本当に空いている時間でやっている」
とのことで、自宅にいながらできるのが自分の生活スタイルにあっているそうだ。自分の技術を空いている時間で生かして双方の時間を有効に使うことができるビジネスは、ネットが普及した現在ならではのやり方で、今後も広がりをみせそうだ。(ライター:okei)
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