今回の話は、就活を控えて「新聞を読んだ方がいいのだろうか」という不安を抱えている方に向けています。すでに読む習慣がある方や、自分なりの情報収集の手段をお持ちの方は、「新聞購読の要不要」で迷うこともないでしょう。
3月から採用の広報活動が解禁になると、合同企業説明会が一斉に始まります。大きな会場にいくと新聞の定期購読を勧めるチラシが配られ、定期購読の契約を受けつけるブースを構えるところもあります。(文:河合浩司)
「ただ山積み」になっている学生は少なくない
「時事問題の対策には、新聞を読むのがいい!」というメッセージを掲げたブースに、就活生が導かれている姿も見かけます。しかし就活という不安を抱えた学生を相手に、営業をかける姿勢には疑問を感じます。
以前、弊社の内定者に尋ねたところ、やはり定期購読を申し込んだ人たちがいました。彼らに「毎日ちゃんと読んでる?」と聞きましたが、答えは「最初の数日だけで、後はただ山積みになっています」という人がほとんどでした。
今まで新聞を読む習慣がなかった人に、いきなり定期購読をして毎日読めというのは無理があるというものでしょう。
そもそも就活を進めるために、本当に新聞は必要なのでしょうか? 確かに新聞を読むこと自体は役に立つこともあるでしょう。就職活動をいつから始めればいいのか、「後ろ倒し」だからといって油断は禁物であるといった情報は、収集する人としない人では大きな差がつくことは確かです。
しかし、そのような情報を集めるには、大手全国紙よりもネットの専門サイトを見ていた方が早かったりするのも事実です。新聞には就活生には関係ない情報も多いですし、一つひとつの情報の掘り下げも限られています。時事問題だけなら、それこそ各新聞社のサイトを見るだけでも、ざっと情報は得られます。
興味ある仕事や会社の本を買った方が有用
新聞紙面を見ることができるスマホアプリもあり学生に勧めることもありますが、まずはコンビニなどで新聞を1部買ってみることをオススメします。
そして、時間のあるときに紙面をじっくり読み、どの新聞のどの面に自分の役に立ちそうな情報がありそうなのかを確認します。それがない新聞を定期購読しても、読まずに捨てることになるのは当然のことです。
もし自分に合った新聞がありそうなら、それをまずは毎日1部ずつ買ってみて、これは定期購読する意味があるなと思ってからでも申し込みは遅くありません。
正直に明かせば、社会人だって新聞を読まずに仕事をする人はたくさんいるし、読んでいるとしても全部の記事に目を通す人は稀です。そもそも採用選考で時事問題を聞かれ、答えられなくて責められる機会はほとんどないでしょう(圧迫面接をする意地悪な人以外は)。知らないことは正直に知らないと答え、相手に尋ねればよいのです。
読みもしない新聞購読にお金をかけるくらいなら、そのお金で自分が興味のある仕事や会社に関する本を買った方が、はるかに有用です。「就活生」というだけでいろいろと買わされそうなご時世ですので、契約はよくよくお考えください。
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