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片山右京、三重県知事と対談。“夢”について語る

2015年01月23日 18:00  AUTOSPORT web

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「COOL MIEトークライブ」に出演した、鈴木英敬三重県知事と片山右京
1月22日、東京・日本橋の三重テラスにおいて、「第9回COOL MIEトークライブ」が開催。ゲストとして片山右京が登場し、“夢への挑戦”というテーマで熱く語った。

「COOL MIEトークライブ」は、鈴木英敬三重県知事がコーディネーターを務めるトークイベント。毎回三重県と縁のあるゲストを招き、様々なテーマについて語っている。第9回のゲストとして今回登場した片山右京は、レーシングドライバーとしての鈴鹿サーキットでの活躍はもちろん、自転車レース“ツール・ド・熊野”でもTeam Ukyoが活躍していることから、出演が決まった。

 今回のトークテーマは“夢への挑戦”。片山ならではの経験を語り、夢を目標にし、そして実現する大切さを説いた。

「何でもいいから1番になりたい」

 片山はその想いでレースを始め、F1を目指した。そのきっかけとなったのは、高校1年生の時に初めて乗った原付バイクだったという。エンジンが載った乗り物の魅力に取り憑かれ、当時は女の子と接することよりも、バイクに乗ることの方がドキドキしたのだそうだ。そしてレースを始めた片山は、極貧生活を送りながらもアルバイトをしたり、使用済みパーツをリサイクルして販売したりして、生活費とレース活動費を稼いだ。「交通費がいらないから」という理由で、サーキットやサーキットの近くに住んだりもした。

 しかし話を聞けば聞くほど、片山にとってF1ドライバーは“夢”ではなく、“目標”であったように感じる。

「夢を持つことは良いことなんですよ。でも、たとえばF1ドライバーになりたいという夢を持っていたら、どうしたらそこまで辿り着けるのかを考えなきゃいけない。そうなると、夢が目標になって、辛くなっちゃうんだけどね」

 そして、片山はF1ドライバーになることができた。

 片山はF1引退後、登山や自転車に注力する傍ら、ル・マンをはじめ様々なレースにも参戦してきた。2007年にはバイオ燃料のみを使い、ダカールラリーに参加、完走を果たしている。これについて鈴木知事は「三重大学ではバイオ燃料の研究が盛んで、ベンチャービジネスも生まれているんです。いずれ、その燃料も使ってレースもしていただきたいですね」と語った。

 片山は現在、Team UKYO Challenge Schoolと銘打ったイベントを、定期的に開催している。このスクールは、登山やキャンプなどのアウトドアを通じて、「夢を実現するために必要なこと」「自分の行動に責任を持つ事」を、子供たちに伝える内容。そして、最近では親子揃って参加できるようになった。

「親子で参加すると、朝は親の方が元気があっても、その日が終わる頃には子供の方が元気になっていて、親は疲れ切っていることが多いんですよ。そういう、好きなことに挑戦したけど、失敗するという場面を、子供に見せた方がいいんです。チャレンジを続ける親を、子供は大好きになるはずです」

 片山の今の夢は、自らが代表を務め各地の自転車レースに挑戦しているTeam UKYOで、世界最高峰の自転車レース“ツール・ド・フランス”に出場することだ。

「僕は色んな人に応援してもらって、F1まで行く事ができました。今は応援する立場になって、そしてツール・ド・フランスに行きたい」

 片山はその新たな夢を実現するために、そのプロセスに向かって、ひとつずつ階段を登っていくことだろう。

 ちなみに、鈴木知事の奥様は、元シンクロナイズドスイミング日本代表の武田美保さん。シンクロ引退後の武田がハワイで毎年行われる100マイル(約160km)の長距離を走破するセンチュリーライドに挑戦する際、コーチ役を務めたのが片山だったという。「練習のとき、奥様に怪我をさせちゃいまして……すいません」と、片山が知事に謝る場面もあった。

「人間の生きて行く衝動の大半はコンプレックスだと思います。自分自身、悔しいことばかりで疲弊して生きてきたけど、色んな人に優しくしてもらった。その中で今思うのは、“人の役に立ちたい”ということ。その方が自分を律することができると思うし、大人の男としても、父親としても大切だと思うんです。一方、人が生きている土壌を見れば環境問題とか、色々なことがある。でもみんなが目の前の損得だけじゃなくて、力を合わせていければ、少なくとも悪い方にはいかないはずです」と話を締めくくった片山。鈴木知事も、「F1日本GPではホンダが復活しますし、5月には自転車のツアー・オブ・ジャパンも開催されます。これからも三重県にご注目ください」と挨拶した。

 トークショー終了後には、「自転車チームへの支援を!」と、片山はチームタオルを販売し、サイン会を行った。これも、夢を実現させるプロセスのひとつだ。

 今回のイベントが行われた三重テラスは、食や文化など三重県の魅力を全国に向けて発信するため、東京に作られた施設。三重県の特産品の販売や、名物を使った料理などを楽しむことができる。また、施設内に設けられたイベントスペースでは、三重の魅力を発信する様々な催しが行われている。