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イスラム国「人質」ジャーナリスト後藤健二さんの母が緊急会見――開催までの「経緯」

2015年01月23日 13:51  弁護士ドットコム

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中東の過激派組織「イスラム国」とみられる武装グループに拘束されているフリージャーナリスト後藤健二さんの母という石堂順子さんが1月23日午前、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。石堂さんは「息子はイスラムのことは決して嫌いではありません。解放されることを願っています」と涙ながらに訴えた。


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武装グループは「72時間以内に2億ドル(約240億円)の身代金を支払われなければ、後藤さんら人質2人を殺害する」と予告している。そのタイムリミットは、23日の午後2時50分ごろとみられている。石堂さんの会見は、人質の母による「最後の訴え」として、多くの報道関係者が詰めかけた。テレビカメラの数は20台を超え、その中には、日本の各局のほか、アメリカのCNNや中東のアルジャジーラも含まれていた。



●「息子を救ってほしい」というメッセージを世界に発信したい


国内外のメディアから注目を集めたこの会見は、事件発生後に急きょ、決まった。



外国特派員協会の報道企画委員会の神保哲生委員長によると、人質の「殺害予告ビデオ」がネットで公開された20日、石堂さんの知人である協会関係者を通じて打診があったという。「息子を救ってほしいというメッセージを、世界に向けて発信したい」という相談だった。「協会の報道企画委員会で検討した結果、記者会見を開くべきだという結論に至った」(神保委員長)。



だが、会見当日の23日朝、後藤さんの兄を名乗る人物から「会見に反対している」という電話が同協会にあったという。すでに到着していた石堂さんが直接電話に出て応対したが、記者会見を開くという意志は変わらなかった。



石堂さんは会見で、目に涙を浮かべながら、周囲からの反対について説明していた。



「会見をやめるようにという電話が入っていますが、それは間違いだと思います。(記者の)みなさんがお忙しいなか、私どもの拙い息子のために、お時間をつくって下さったのですから、感謝を申し上げるのが当たり前ではないかと思い、電話を無言で切りました」



命の危機にさらされている子どもを救いたいという母親の思いが実現させた記者会見だったようだ。その思いがイスラム国側に届くのか、期限とされる時刻が迫っている。



(弁護士ドットコムニュース)