FIA会長ジャン・トッドとメディカル部門の責任者であるジェラール・サイヤンが、元F1ドライバーのフィリップ・ストレイフの発言に関して訴訟を起こす意向であることが明らかになった。ストレイフがジュール・ビアンキの事故の調査に関して「侮辱的な発言」を行ったとFIAは述べている。
1980年代にF1で活動したストレイフは、1989年のテスト中のクラッシュにより重傷を負い、車椅子生活を送っている。
彼はビアンキの事故についての調査委員会はFIAが非難を免れるために設立されたに過ぎないと発言したとフランスメディアで広く報じられている。
ビアンキと彼の家族とは親しい間柄であるトッドは、ラジオインタビューでのストレイフのコメントに激怒したといわれている。
22日、FIAは、ストレイフは「侮辱的かつ中傷的な発言」を行ったとして名誉棄損で告訴すると発表した。
「FIA、会長ジャン・トッド、FIA医療委員会会長ジェラール・サイヤンは、フィリップ・ストレイフがジュール・ビアンキの健康状態に関して最近行った発言の中で彼らについて示した意見を知り、がくぜんとした」とFIAの声明には記されている。
「この意見は一部メディアで報じられたが、FIA、ジャン・トッド、ジェラール・サイヤンは、フィリップ・ストレイフの侮辱的かつ中傷的な発言は全く事実無根であり、悪意の表れであると断言する」
「彼らの評判に対する意図的な攻撃の深刻さを考慮し、彼らは弁護士に対し、フィリップ・ストレイフの発言を伝えることがただちに阻止され、適切な制裁措置がとられるよう、名誉棄損および侮辱として告訴するよう依頼せざるを得なかった」
「彼らはこの一件はジュール・ビアンキのご家族の苦しみをさらに大きくすることにしかつながらないことを遺憾と考え、またご家族に対する支援の気持ちを改めて表明する」
ウエットコンディションとなった日本GP決勝でビアンキはクラッシュ、重傷を負った。F1での安全性向上のためにFIAは10月に事故調査委員会を発足した。会長はFIA安全委員会会長のペーター・ライトが務め、メンバーとしては、メルセデスの元代表ロス・ブラウン、フェラーリの元代表ステファノ・ドメニカリ、FIAドライバー委員会会長を務めるエマーソン・フィッティパルディ、グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション会長アレックス・ブルツなどを含む9人が任命された。
事故調査委員会は、396ページにおよぶ報告書を提出、その内容が12月上旬に発表された。委員会は事故原因の分析を行うと共に、安全性向上のため、イエローフラッグゾーンでのスピード制限を厳しく行うこと、日没の4時間以上前に決勝をスタートすること、開催地の雨季を避けてグランプリ日程を決めること、F1タイヤサプライヤーにウエットタイヤテストを行う機会を与えることなどの提案を行った。
重傷を負ったビアンキは、母国フランスの病院で今も意識不明の状態でリハビリテーション療法を受けている。