結婚をしない若者が増加する中、30代後半の独身女性を対象とした「ソロウェディング」というサービスが登場し、ネット上でも注目を集めている。女性が一人で花嫁衣装を着て、記念写真を撮影するツアー商品だ。
1月22日に放送された情報番組「モーニングバード」(テレビ朝日)によると、企画したのは京都の旅行会社チェルカトラベル。番組では38歳独身、結婚願望はあるが現在彼氏なしというツアー利用客の女性に密着し、その様子が紹介された。
利用客は「女性の夢。最高の気分」と大喜び
ツアー1日目は、打ち合わせ後にウェディングドレスを試着。約200着からスタッフが事前に厳選した10着の中から、女性が気になったものを着ていく。するとコーディネーターが、
「可愛いですね。すごい! めちゃくちゃ似合うじゃないですか。うらやましいくらい細い!」
などと褒めまくり。女性も「何着も着られて嬉しいです」と楽しそうだ。2時間かけた末、レースがふんだんに使われた細身のドレスに決めた。ツアーでは通常1週間かかるサイズ直しを半日で行い、翌日にはジャストサイズで着られるようにしてくれる。
その後、オリジナルのブーケを作って1日目は終了。2日目はいよいよ撮影だ。ヘアメイク担当者が化粧を施し、プロのカメラマンが写真を撮ってくれる。ここでもコーディネーターが「めっちゃキレイ!」と褒めまくる。撮影を終えた女性は満足気だ。
「ずっとティアラだったり、ドレスに憧れがあった。キレイにしてもらってウェディングドレス着るのは女性の夢。最高の気分です」
この「ソロウェディング~恋するドレス~」は、オフシーズン平日で1泊2日30万円。34万円の和装コースもある。決して安くはないが、ヘアメイクやプロカメラマンの撮影、写真CD、移動車両などの費用と宿泊代も込みということを考えればお手頃とも言える。
半年先まで予約が入っているほどの人気で、今回の女性のような30代後半、特に38~39歳の女性からの問い合わせが多いという。
「お姫様願望」満たすためのコスプレか
しかし、結婚相手がいないのにウェディングドレスを着るのは、少し変わっていると感じる人も多いだろう。当然ネットでも話題になり、「虚しくならないのかな」「あまりに寂しすぎる」というつぶやきが見られる。女性からは、
「ドレス着れたり写真撮ってもらうのはいいけど、やっぱり隣には旦那さんがいてほしいよ」
という意見も。とはいえ、ドレスを着るためだけに結婚相手を妥協するくらいなら、1人で着ればいいと割り切るのもアリではないか。番組では同社の井上ゆき子代表が、
「人間は、自分の最上級の姿を見てみたいもの。ウェディングドレスは、女性が一番きれいに見えるツール」
と企画の趣旨を語っていた。実際、番組で取り上げられた参加者には虚しさの影は見えず、井上さんのブログでも「楽しそう!で、幸せそう!」で「寂しさ」を抱えている様子は皆無だという。最近では、ツアーに友達や母親が同行するケースもあるそうだ。
「お姫様願望」を満たすための一種のコスプレと思えば、違和感も減るかもしれない。ツイッターでは「ウェディング(結婚式)って言うから痛い感じがする」という指摘も出ていた。名称を「ソロブライド(花嫁)」や「シングルブライド」に変更すれば親しみやすくなるというが、どうだろうか。
あわせて読みたい:酒もタバコもやらない今の若者は昔よりも賢い?