19日、GTアソシエイションから発表されたスーパーGTの大幅な日程変更。タイ戦が6月となり、スポーツランドSUGO戦、オートポリス戦が秋に移動するものとなったが、これによってスーパーGTドライバーに、ル・マン24時間参戦のチャンスが大いに広がることになった。
今回発表されたカレンダーを見ると、当然ながらスーパーフォーミュラやスーパー耐久といった国内ビッグレースとはバッティングしておらず、またスーパーカーレースシリーズ(SCR)、GTアジアといったGT3レースとも重なっていない。また、F1日本グランプリやWTCC、WECといった世界選手権の日本戦とも重複がない。
気になるのは他のF1以外の世界選手権レースとの重複だが、今回のカレンダーはWEC世界耐久選手権と3戦の日程重複がある(昨年の発表時点では重複は2戦)。そのためWECのシーズン参戦とスーパーGTを掛け持ちするのはかなり厳しくなった(ちなみにWTCCとの重複は2戦)。
ただ、逆に日本人ドライバーにとっては大きなメリットも生まれた。それは、5月31日に予定されているル・マン24時間のテストデーに参加できることになったのだ。近年ル・マン24時間では、初参加のドライバーは6月の決勝レースに参戦するためにはシミュレーターでの訓練に加え、テストデーに出走しサルト・サーキットを走行しなければ参戦権利が与えられない。
もともとのスーパーGTのカレンダーでは、5月31日はスーパーGT第3戦オートポリスが予定されており、まだル・マンに出たことがないGTドライバーはテストデーに参加できず、大きな障壁となっていた。しかしこの日程変更により、スーパーGTで活躍するドライバーがル・マン24時間のテストデーに参加できる可能性が大いに広がった。
また、当初7月25日~26日には第4戦SUGOが予定されていたが、実はこの週末には多くのGT3車両が出走するブランパン耐久シリーズのスパ24時間が予定されており、FIA-GT3車両を使用するGT300チームにとってはヨーロッパのメーカーのカスタマーサポートが手薄になる懸念があったが、この日程変更によって解消されている。
また、今回の日程変更により、日本が梅雨の時季にあたる6月にタイでレースを行うことになり、雨のレースの心配が減るというメリットもある。とは言え、ひさびさの開催となる9月のSUGOなど、どんなコンディションなるのかはなかなか読みづらく、タイヤメーカーやGT500メーカーにとっては悩みの種になるだろう。
ちなみに、5月14日~17日のニュルブルクリンク24時間も、5月のスーパーGT開催が減ることで参戦のしやすさは向上していると言えるだろう。タイ戦のスケジュール変更に端を発するこの大幅なスーパーGTの日程変更は、チーム側やメーカー側にとってはさまざまな部分で困難も多いが、世界を目指すドライバーにとっては大いにメリットがあるのかもしれない。