俳優や女優、映画監督の好きな映画は何なのか。映画に出演、制作している側の人たちのおすすめの映画を知りたいという人たちは多いだろう。
『スターおすすめられシネマ』(河原雅彦/著、日之出出版/刊)は、舞台演出家の河原雅彦氏が、偏った映画好きを直すべく、さまざまな俳優を中心にオススメ映画を紹介してもらい感想を書くという、雑誌『CINEMA SQUARE』の人気連載をまとめた一冊だ。
本書で登場する俳優、女優、映画監督たちは総勢28名。その中から今、注目の俳優2名の「おすすめ映画」を紹介しよう。
まずは、斎藤工さん。上戸彩さん主演ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」では、上戸さん演じる紗和の不倫相手役を演じ、ドラマと共に話題を集めた。趣味は映画鑑賞。東北新社で働いていた父の影響を受け、映画好きになったという。
そんな斎藤さんが河原氏におすすめする映画は、フランスの『預言者』とイタリアの『ゴモラ』。
本書で斎藤さんは「僕、これを観た時、本当にビックリしたんです」と語り、「両方とも刑務所の中の話なんですが、映画大国であるイタリアとフランス人のいわゆる華やかなイメージとは真逆で。まるでイタリアとフランスの園子温監督って感じの映画です」とコメントする。
おすすめされた河原氏の感想はどうだろうか? 『プリズンブレイク』と『ゴッドファーザー』を足して2で割ったような壮大な仕上がりながら、フランス映画らしいニヒリズムとリアリズムに溢れた今作品は、まさにぐーの音も出ないほどの大傑作と、『預言者』を鑑賞して絶賛している。
続いては鈴木亮平さん。2013年に公開した映画『HK/変態仮面』で主役の変態仮面、NHK連続テレビ小説『花子とアン』では、ヒロインを演じる吉高由里子さんの夫・村岡英治役を演じた。数々の作品で幅広い役を演じ、注目を集めている。
鈴木さんのおすすめの映画は『oasis』だ。「僕が観ていていちばん息もできなくなるのはこの韓国映画です。全部好きですが、やっぱり主役ふたりの芝居が好き」と鈴木さんはこの映画をすすめる。
さて、河原氏はこの映画を観てどう思ったのか? 「ジャンルとしては純愛モノなんだけど、これほど観る側のコンディションを選ぶ映画ってないと思います」とコメント。そして、「心の底からドーンとくる物語」と評するのだ。一体どんなストーリーなのだろうか? それは、ぜひ本書を読み、そして実際に映画を観てほしい。
紹介した2人の俳優の他にも、小栗旬さん、綾野剛さん、小出恵介さんなど、日本映画界で活躍している俳優や監督たちが「これを観ずして何を観る!」というおすすめの映画を本人の解説付きで紹介している。
好きな映画はやはり偏っていくもの。しかし、食わず嫌いだったジャンルの映画も試しに観てみたら面白いかもしれない。どんな映画を観ようか迷ったとき、本書は参考になるはずだ。
(新刊JP編集部)