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AKB武藤十夢さん「自販機ボタン1回」で飲み物2本ゲット――両方もらっちゃダメ?

2015年01月18日 12:01  弁護士ドットコム

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自販機で飲み物を買ったら、なぜか2本出てきた――。アイドルグループAKB48のメンバー、武藤十夢さん(20)が昨年末に自分の体験をネットに投稿し、話題になった。


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武藤さんは、レッスン場の自動販売機で飲み物を買ったところ、1回ボタンを押しただけで飲み物が2本出てきたという。喜んだ武藤さんは「飲み物が2本出てきたの( ゜o゜)☆1回しか押してないのに!!」「自販機からのエールだ!」として、1本は別のメンバーにあげたと記していた。



ところが、武藤さんの行動について、ネット上では「窃盗ではないか」という指摘もある。機械の誤作動で出てきた飲み物を持ち去ることは、法律上問題があるのだろうか。岡野武志弁護士に聞いた。



●法律的には問題アリ


「自動販売機で飲み物を1本買ったら誤作動で2本出てきた、という体験をしたことがある人もいるでしょう。そうしたとき、軽い気持ちで2本もらってしまうかもしれません。



しかし、自動販売機の管理者は、誤って出てきた2本目の飲み物を『もらって良いですよ』と認めてはいません。



それを無断で持ち去ることは管理者の意思に反しますので、法律的には問題がある行為と言えます」



すると、何かの罪になるのだろうか?



「そうですね。ただ今回の場合、2本目の飲み物をとることが『窃盗罪』になるのか、それとも『占有離脱物横領罪』になるのかは、判断が悩ましいところです。



誰かの管理下にあるモノを勝手に持ち去れば『窃盗罪』になります。一方、それが誰の管理下にもない他人所有のモノだと、『占有離脱物横領罪』になるんですね。



自販機から出てきた2本目の飲み物は、誰でも取り出せる状態ではあるので、どちらと判断すべきなのかという問題があるのです」



●「窃盗」か「占有離脱物横領」か?


この場合、どちらと考えられるのだろうか?



「古い裁判例ですが、東京高裁は1958年3月10日、公衆電話のつり銭口に置かれていた硬貨を無断で持ち去った行為について、『窃盗罪』とする判決を出しています。つまり判決は、その硬貨にNTTの電話局長等の管理が及んでいると判断して、窃盗罪としたのです。



この判断を自動販売機に当てはめれば、取り出し口にある飲み物は持ち主の管理が及ぶといえそうです。したがって、誤作動で出てきた飲み物を無断で持ち去ることは、刑法235条の『窃盗罪』に該当すると考えられます。



もっとも、偶然の出来事で自販機の飲み物を1本持ち去るぐらいでは、罪に問われることは事実上、ほぼないといえるでしょう」



岡野弁護士は上記のように指摘していた。



自販機にはたいてい管理者の連絡先が書いてある。もし誤動作で飲み物が2本出てきたら、管理者に連絡してあげるのがよさそうだ。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
岡野 武志(おかの・たけし)弁護士
アトム法律事務所弁護士法人代表。弁護士登録の翌日、単身で事務所を設立し、5年で全国6所の事務所に成長させる。刑事事件専門の法律事務所の先駆けとして、悩みを抱えた方がアクセスしやすい弁護士・法律事務所を目指し、日々研鑽を積んでいる。
事務所名:アトム法律事務所
事務所URL:http://www.atombengo.com/