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日本産ワイン「グレイス甲州」が海外進出 シンガのシェフも「僕の好みにピッタリ」と太鼓判

2015年01月16日 11:40  キャリコネニュース

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日本各地で作られている「こだわり食品」が、世界の一流レストランで使われて高い評価を得ているという。2015年1月13日の「ガイアの夜明け」は、海外での販売拡大に奮闘するワイナリーと果物農家を取り上げ、その現場を取材した。

3年連続で三ツ星を獲得したベルギーのレストランに、日本産ワイン「グレイス甲州」が置かれた。18カ国から厳選したワインを取り揃えるソムリエのオーナーが入荷を決めた。「日本がこのようなワインを造ることに感動しました。エレガントな味に驚いたんです」と絶賛する。

知名度低く、値下げを要求されることもあるが

グレイス甲州は山梨県甲州市のワイナリー中央葡萄酒が、日本固有のぶどう品種「甲州」から製造している。栽培から醸造までを統括するのが栽培醸造部長の三澤彩奈さん(34歳)。凛とした雰囲気の女性で、ワイン造りについて語る様子は心から楽しそうだ。

創業90年以上の中央葡萄酒の5代目である彩奈さんは、仏ボルドー大学で醸造学を学んだあと、仏・南アフリカ、チリなど世界6カ国のワイン産地で8年にわたり経験を積んだ。

祖父や父が挑戦しながら思うように果たせなかった海外での販売を、彼女が果たそうと努力と研鑽を続けている。彩奈さんが手がけた白ワイン「キュヴェ三澤 明野甲州2013」は、英国で開かれた国際的なワインコンクール「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード2014」で日本初の金賞に輝いた。

昨年12月、父である茂計社長とも相談し、国際都市シンガポールからアジアへ発信していく道を模索。高級寿司店などでも扱われてはいるが知名度が低く、注文も多くない。値下げを求められることもあるが、彩奈さんは、

「自分が価格を落とすと、他の日本ワインのイメージを壊してしまう」

と要求には応じず、いかにブランドを築くかを課題とした。そこでシンガポールの5つ星ホテル「ラッフルズホテル」を訪れ、トップソムリエのステファン・ソレ氏に「本当に味が分かる人に飲ませてみるのが一番」というアドバイスを貰った。ソレ氏は2年前、彩名さんのワインに惚れ込み、アジアのワインで唯一リストに加えていたのだ。

有田のみかんに「舌の肥えたシェフたち」も舌鼓

売り込みをかけたのは、アジアのベスト・レストラン50に選ばれたティップリングクラブだ。英国人オーナーシェフのライアン・クリフトさんは、以前日本のワインを飲んだことがあり「正直、たいしたことなかったね」と話していた。しかし、グレイス甲州をテイスティングすると、即決で取引成立。

「いいね、素晴らしいよ。ぜひワインリストに入れたい。複雑でバランスがいい。僕の好みにピッタリだね」

驚きを隠していたのかニコリともせず、真剣な表情だった。彩名さんは今後の目標として「自分にしか造れない、心に残るワインを作りたい。日本の代表として強くありたい」と語り、今後の世界展開に自信を深めたようだ。

番組ではそのほか、佐賀の白苺農家や和歌山県有田市のミカン農家も紹介した。ミカン農家の伊藤農園は、株式会社化してみかんジュースやマーマーレード、カボスなどの果汁製品をヨーロッパにも売り出し、高い評価を受けている。

フランスの食品商社の社長は、「舌の肥えたシェフたちに、伊藤農園の商品なら自信を持って薦められます」と話す。海外販売を担当する5代目の伊藤彰浩さん(34歳)は、香港の高級ホテル「ロイヤルガーデンホテル」でみかんゼリーの商品化に成功した。

日本各地のしっかりとしたモノづくりの技術と、努力を重ねたこだわりの食材が世界に認められる様子は、見ていて楽しいものがあった。国内市場では需要が限られるこれらの製品が、世界に広まって生産者が潤って欲しい。(ライター:okei)

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