トロロッソからフェラーリに移籍し、テストドライバーを務めることになったジャン-エリック・ベルニュが、下位チームでのレースドライバーよりも有望な役割であり、2016年に向けて大きな可能性を感じると語った。
レッドブルのドライバー育成プログラムのメンバーだったベルニュは、トロロッソから3年F1に出場したが、2014年末でシートを失った。
2015年F1に参戦が確定している全チームのレースシートは埋まり、ベルニュはF1から去らざるを得ないものとみられたが、フェラーリは昨年12月19日、2015年にベルニュがテストドライバーとしてチームに加入し、シミュレーターでの作業を担当すると発表した。
12月15日にはエステバン・グティエレスがフェラーリのテストおよびリザーブドライバーを務めることが発表されていた。
イタリアのLa Gazzetta dello Sport紙は、フォーミュラEが開催されたブエノスアイレスでベルニュにインタビューを行い、フェラーリと契約した経緯などを聞いた。
「フェラーリに入ることはすべてのドライバーの夢だ。正直言って、自分がフェラーリに入ることになるとは思っていなかった。一番驚いたのは僕自身なんだ」と24歳のベルニュが述べたとLa Gazzetta dello Sportは10日に伝えた。
フェラーリとの契約の経緯についてベルニュは次のように説明している。
「あっという間に話が進んだ。12月に(フェラーリ代表の)マウリツィオ・アリバベーネから連絡があって、すぐに合意に達した」
アリバネーネとはそれまで話したことはなかったという。
「僕は長年レッドブル陣営に所属していて、彼とは会ったことがなかった。第一印象でいい人だと思った。フェラーリは大きなファミリーで、その一員になることができてすごく嬉しい」
リザーブドライバーの役割はグティエレスが務めるものの、ベルニュはシミュレーター作業でチームに貢献できることに大きなやりがいを感じていると述べている。
「正直言って、僕としてはリザーブドライバーを務めるよりもシミュレーターに乗ってチームに貢献する方がいい。今のF1ではサードドライバーはサーキットに同行しても特に何もすることはないんだ。チームに貢献できないのは悔しいと思う。僕は自分の役割は重要だと思っている。フェラーリがトップの位置に戻るのを助けるために全力を尽くす。僕の仕事がほんのわずかでもその役に立つなら嬉しい」
これから初めてフェラーリ本拠のマラネロを訪れるとベルニュは明かした。
「明日の夜にフェラーリに向かう。初めてだからすごくわくわくするよ」
トロロッソに残ることはできなかったが、全力を出し切ったため悔いはないとベルニュは言う。また、下位チームでレースに出るよりはフェラーリでテストドライバーを務めた方が来年のレース復帰へのチャンスにつながるはずだとの考えを示した。
「(トロロッソのシートを失ったことに)がっかりはしていない。自分がベストを尽くしたことは分かっているから悔いはないんだ」
「それに今はフェラーリの一員だ。2016年に向けて素晴らしいチャンスにもなる。ケータハムやマルシャに乗って最下位あたりで戦うよりいい」
ベルニュはセバスチャン・ベッテルがレッドブルからフェラーリに移籍したことも自分のフェラーリ入りにある程度影響したと認めた。
「彼のことはF1のキャリアが始まったころから知っている。当時僕はF3で走りレッドブルのシミュレーターに乗っていた。彼との関係は昔からとてもよかった。もちろんキミ(・ライコネン)ともそうだけどね」
「彼(ベッテル)がフェラーリに行ったことが助けになったのは確かだ。ただ、他の人たちの意見もあったことは分かっている。たとえば、僕は(フェラーリF1活動の管理担当)マッシモ・リボラとかなり話をしているしね」