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接客は「我慢」か、それとも「笑顔にするため」か マナー講師の対照的な2タイプ

2015年01月12日 12:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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ホテルで働いていると、社外のマナー講習を受けることが度々あります。講師は元航空会社のファーストクラスCAだったり、元大手外資ホテルのVIP担当だったりと、とても立派な経歴の「接客業で上の地位までのぼり詰めた」方が多いです。

そういった方々からマナー講習を受けていると、教え方や伝え方によってその講師がどういった思いで接客をしてきたのか、ひしひしと伝わってきます。これまで5名の講師に出会いましたが、その中に対照的な考えを持っている2人の講師がいらっしゃいました。(文:ユズモト)

クレーマーから身を守るものでもあるけれど

1人目の講師は、接客とは「我慢すること」であり、「お客様からクレームを受けないために」「つけいる隙を与えないために」マナーや正しい敬語を身に着けなさい、というスタンスで講習をされていました。

そのため、お辞儀の角度がマニュアルと違っていたり、少しでも言葉遣いが誤っていたりすると、実際のクレーマーと同じように怒号が飛んできました。

「そのなってないお辞儀は何だ!」
「お前らやる気あんのか!」
「だからお前らはダメなんだ」

もう1人の講師は、接客は「お客様を笑顔にするために」「喜んでいただくために」するものであり、そのためにマナーや正しい敬語をきちんと身に着けていきましょうね、というスタンスで講習をされていました。

言葉遣いや立ち振る舞い、お辞儀の角度などについても細かに指摘されますが、それより笑顔が自然に出ているか、言葉や動作に気持ちがこもっているかどうかなど、内面的なことを重点的にチェックされます。

どちらのスタンスも間違ってないし、納得できると私は思います。確かにまずい接客でクレームを受けることもありますから、「接客は辛いもの」であり、マナーを身に着けるのは「自分を守るため」という側面もあります。だから上品な立ち振る舞いや言葉遣いを徹底するべきだ、というのも分かるのです。

動作や言葉に込められる「気持ち」はお客に伝わる

その一方で、自分が接客したお客様に喜んでいただけた瞬間の喜びは何にも代えられないものですし、よりよいサービスを提供するためにマナーを身に着けるべきだ、という考えに私はとても共感します。

前者の「接客は辛いもの」というスタンスだけだと、従業員のマナー向上に対するモチベーションも上がりにくいのではないかな、と少し思います。

同じ接客をしていても、「怒られるからマナーに気を遣っている」人と、「サービスをもっと良くしたくてマナーに気を遣っている」人では、動作や言葉に込められる気持ちがきっと違ってきますし、それはお客様にも伝わるんじゃないかなと思うのです。

また、本来「受講生のお手本」であるべきマナー講師が、言葉遣いも立ち振る舞いも気にせず、汚い言葉で受講生を罵るのはどうなのでしょうか。

私が人に接客マナーを教えるときは、「お客様を笑顔にするために」というポジティブなスタンスで伝えていきたいと思っていますし、後輩指導の際にもそうするよう心掛けていました。もちろん「体育会のノリで厳しくやってくれる方が、緊張感があっていい!」という方もいますし、どちらが良いと決めつけられるものではないのですが…。

皆さんは、どちらのタイプの講師から教わりたいですか?

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