2015年01月12日 08:41 弁護士ドットコム
1月12日の「成人の日」にあわせて、各地で成人式が開かれる。地元の成人式に参加すれば、かつての同級生たちと再会する良い機会にもなる。酒を飲みながら、大人になった喜びを分かち合う新成人も多いだろう。
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ただ、成人式は、対象者を学年ごとに区切っている場合がほとんどだ。そうなると、まだ20歳の誕生日を迎えていない「19歳」の未成年も、式では「新成人」と扱われることになる。つまり、成人式の後の飲み会に、19歳と20歳が混在することになるわけだ。
法律上、未成年の飲酒は禁止されている。もし居酒屋などが未成年にお酒を提供した場合、罰せられてしまう。しかし年齢が19歳の場合、見た目では未成年かどうか、判別できないケースも多いだろう。
もし19歳の成人式参加者が「20歳です」と嘘の申告をして、それを信じて酒を提供したら、店側は「法律違反」になるのだろうか。内川寛弁護士に聞いた。
「居酒屋やファミレス、喫茶店などが、未成年が飲むと知っているのにもかかわらず、お酒を提供した場合、店側には50万円以下の罰金が科されます(未成年者飲酒禁止法)。
また、深夜営業の飲食店や風俗営業者については、風営法によってさらに重い1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます」
内川弁護士はまず、店が未成年だと把握していた場合について説明する。では、「20歳だ」と嘘の年齢を申告していた場合はどうだろうか。
「店側には、飲酒者の年齢を確認する義務が課せられています。
たとえば、酒類を注文した者が中学や高校の制服を着用していれば、明らかに未成年とわかります。本人が『20歳だ』と申告したとしても、酒類を提供した店側の責任は免れません」
ただ、今回のように、成人式の衣装ということであれば、見た目で判別するのは至難の業だろう。
「そうですね。成人式当日の集まりでは、誰が未成年なのか、見た目だけでは判断が難しいのが実態かもしれません。
店側は自己申告を信用するのではなく、免許証や学生証、健康保険証などで年齢確認すべきでしょう。
年齢確認できるものがない場合でも、未成年が酒類を注文している可能性を、店側が認識していれば、責任は免れないでしょう」
「19歳の新成人」は誕生日を迎えるまで、もう少しだけ辛抱してほしいところだ。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
内川 寛(うちかわ・ひろし)弁護士
あおば法律事務所 共同代表弁護士
熊本県弁護士会・司法制度調査委員会委員長,子どもの人権委員会副委員長
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/