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フォーミュラE初優勝の鈴木亜久里、喜びを語る。「次のマイアミは絶対に行く」

2015年01月11日 14:10  AUTOSPORT web

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フォーミュラE優勝を喜ぶ鈴木亜久里
フォーミュラEで初優勝を果たしたアムリン・アグリのエグゼクティブ・チェアマン鈴木亜久里に、東京オートサロン会場で、フォーミュラE初優勝の心境を聞いた。

「マネージャーからの電話で知ったんだ。フリー走行と予選は観たんだけど、決勝は観れなかったんだよね。残念だな。でも、録画で観ています」

 連日、東京オートサロンの会場でトークショーを行っている亜久里は、アルゼンチンには行かず、日本からチームを見守っていた。その亜久里も、さすがに優勝できるとは思っていなかったようだ。

「予選が僅差だったから、期待はしていたけどね。あとは、マネージメント次第かな、と。でも、優勝できるとは思っていなかったね。うまく行けば、トップ5くらいでゴールできるとは思っていたけど……」

 今回の優勝は、ドライバーであるアントニオ・フェリックス・ダ・コスタの力も大きかったと、亜久里は分析する。

「アントニオはミスしないよね。あんなに若いのに、とても冷静。あれだけの混戦なのに、クラッシュしたりしないもんね。レッドブルF1のリザーブドライバーだし、DTMでBMWのワークスチームのドライバーもやってるわけだから、良いドライバーなのは分かっていたけどね。でも、22歳であの冷静さは、たいしたもんだと思う」

 e.ダムス・ルノーや、アウディ・アプトが自動車メーカーのリソースを使ってマシンの開発を進める中、同様の後ろ盾を持たないアムリン・アグリは、これまで苦戦するレースが多かった。しかし、エンジニアがセットアップの方向性を見付け、それが戦闘力の向上に繋がった。

「ゲイリー・ヒューズという、すごく真面目なエンジニアがいるんだ。彼が、クルマのことをだいぶ理解してきたみたい。フォーミュラEのクルマって、どんなセッティングをしてもあまり変わらないんだ。例えばウイングの角度が大きく違っても、差があんまり出ない。でも、おおよその方向性を見付けたみたいだから、今後は大きく外すことはないと思うよ」

 この勝利で、日本のスポンサーやメーカーからの支援が集まることを、亜久里は期待する。

「今はまだ(日本のスポンサーからの支援は)ないけど、色々と交渉してます。技術面で一緒にやっていこうという話をしている会社もある。今回勝ったことで、そういう話にも拍車がかかるんじゃないかな」

 なお、このインタビュー前には、東京オートサロンのオートバックスブースで「ARTAドライバートークショー」が行われ、土屋圭市、松浦孝亮、高木真一と共に鈴木亜久里も登壇。土屋圭市が「みんな知ってる? 今朝、亜久里さんのチームがフォーミュラEで勝ったんだよ」と集まったファンに開口一番語りかけると、拍手が沸き起こった。

 奇しくも、ダ・コスタのカーナンバーは55番であり、GT300を戦うARTA CR-Z GTと同じ番号である。この番号は亜久里曰く「好きなナンバー」ということ。幸先が良いのは間違いない。これを受けて松浦は「岡山ではホンダのマシンが安定して速いので、勝てる気がする!」と自信を見せた。

 前日のトークショーで「勝ったら泣く!」と語っていた亜久里と土屋。しかし、そのすぐ翌日に勝利を味わった亜久里は「涙は出なかった」と笑った。実はARTAでも、亜久里不在の際は調子が良いという。「昨年のタイでのGTの初日、僕が居なかったら調子が良かったよね? しかも今回は勝ってしまった。今年のGTは現場に行かず、サーキット近くのオートバックスでトークショーをしてようか」と亜久里が土屋に向けて語りかけるシーンもあった。

 とはいえ「フォーミュラEも、行けるところは全部行きたい。ロングビーチはGTのレースと重なってしまうので行けないけど、次のマイアミ(3月14日)は行くよ」と、亜久里はトークショー終了後に話してくれた。

 フォーミュラEを4戦目にして早くも勝利した、鈴木亜久里率いるアムリン・アグリ。“掴んだ”というセットアップの方向性を武器に、次のマイアミePrixではどんな活躍を見せてくれるのだろうか? そして、亜久里が表彰台の上で、チームトロフィーを受け取る日は来るのだろうか?