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想定外の大雪で起きた「落雪事故」 壊れたフェンスの「修理代」は誰が負担すべきか?

2015年01月11日 12:11  弁護士ドットコム

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この冬は、強い寒気の影響で、日本海側を中心に例年以上の大雪に見舞われる地域が続出している。この時期に気をつけたいのが、屋根からの落雪だ。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも「自宅の屋根から雪が落ちて、隣家のフェンスを曲げてしまった」という悩みが寄せられている。


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質問者が住んでいるのは、年に数えるほどしか雪が降らない地域。屋根に雪止めがついており、今まで隣家に落雪したことはなかったそうだ。ところが今回は想定外の大雪が降ったため、雪止めをこえて雪が落下し、隣家のフェンスを曲げてしまったのだという。「賠償責任はあるのでしょうか?」と不安な様子だ。



このケースのように、自分の家の屋根から雪が落ちて、他の家の物を壊した場合、家主は賠償責任を負うのだろうか。壊れた物の修理代を負担しないといけないのか。雪国・北海道で開業する難波徹基弁護士に聞いた。



●家主に賠償責任はあるのか?


「建物の所有者または管理者には、建物の安全性を確保する義務があります。これには、落雪で物や人に損害を与えないことも含まれます。屋根から雪が落ちて、物を壊したり、通行人にケガをさせてしまった場合、家主は損害を賠償しなければなりません」



難波弁護士はこのように切り出した。自分の家から落ちた雪で物や人に被害が生じた場合には、基本的に賠償責任が生じるようだ。では、落雪防止措置をとっていた場合はどうか。



「落雪防止措置をしていれば、それだけで賠償責任を免れるかというと、そうもいきません。



どこまでの落雪対策をしておく必要があるかは、その地域が豪雪地帯か、たまにしか降らないか、その地域の降雪量によって違いますが、実際に落雪事故が生じてしまえば、防止措置は不十分だったとされる可能性が高いでしょう」



●予想外の大雪なら仕方ない?


しかし、どれだけの雪が降るかを正確に予測できる人はいない。今回のように、想定以上の大雪が降り、それによって事故が起きてしまったというケースも多いのではないか。



「過去の降雪量や積雪量などと比較して、想定できないほどの異常気象だったと認められることはごくまれです。天災だから仕方ないという言い訳は通じないと思ったほうが良いでしょう。



通行人が大ケガをするなど結果が重大なこともありますし、リスクが高いことを十分認識して対策を取ることが必要です」



難波弁護士はこのように注意を促していた。家の管理を考える際には、雪がもたらすリスクも十分に考慮し、いざというときのために充分な備えをしておくべきといえそうだ。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
難波 徹基(なんば・てつき)弁護士
北海道札幌市在住、1998年弁護士登録、札幌弁護士会所属。マンション、住宅、景観など都市環境にまつわる問題に取り組んでいる。
事務所名:のぞみ・ひかり法律事務所
事務所URL:http://nozomi-law.jp/