メディアの中でも、特に華やかなイメージのあるテレビ業界。凋落が叫ばれるようになってもマスコミ志望者の間では人気が高いが、テレビ制作会社の元ADを名乗る人物が「業界の陰の部分」を2ちゃんねるに書き込んで注目されている。
このスレッドは2015年1月5日に立った「テレビ番組のADを辞めてきたけど質問ある?」というもので、スレ主はADとして制作会社に4年間勤務。昨年まで番組制作に携わっていたが、激務続きで疲れきってしまい退職したという。
本当にADだったのかも含めて書き込みの真偽は不明だが、バラエティ番組の台本の写真もアップしており、信ぴょう性は高いと見られる。そこで、スレ主が経験したというテレビの現場の話をまとめてみた。
■長時間労働で眠れないし帰れない
長時間労働が常態化しているテレビ業界では深夜まで多くの人が働いている。特に制作会社のADは一番下の立場のために常に現場にいなければいけないらしく、連日の徹夜は当たり前。現場では、
「ディレクターから買い物を頼まれる→15分椅子で寝る→P(プロデューサー)から頼まれる→20分寝るの繰り返し」
という状況なのだという。中には3日間連続で徹夜して働き続けるADもおり、「収録中にバタっと倒れて爆睡始めるやつなんて沢山いた」と振り返る。当然そういう労働環境だと休日を取ることもままならず、最長で147連勤を経験したことがあるという。
■芸能人を見てテンションが上がるのは最初だけ
番組の制作過程で必然的に多くの芸能人と接することになるが、意外なことにワクワクするのは最初の1週間だけ。それ以降は「もう芸能人なんてどうでもいいから眠らせてくれって感じ」という気持ちになるのだそうだ。
週刊誌では業界人がスタッフにきつく当たる芸能人の裏の顔を暴露しているが、スレ主によると、スタッフに嫌われた芸能人は仕事がなくなってしまう。そのため、今テレビに出ているタレントは「裏ではしっかりと挨拶出来て礼儀正しい人ばかりだよ」と書いている。
■プロデューサーを目指すのは「演出能力低い人」
スレ主によると、テレビ現場ではプロデューサー(P)よりもチーフディレクター(D)の方が偉い。序列は「チーフP=総合演出>チーフD>P=D>AP>AD」という印象で、「演出能力低い人」がプロデューサーを目指すのだそうだ。
ちなみに、番組のキャスティングはADがしていることもあるのだそう。スレ主の場合は、番組の企画で料理好きの芸能人をネットで検索してプロデューサーに提案。それが簡単に通ることもあったという。
■テレビ局員との格差がやばい
大手キー局の職員は高年収で知られているが、制作会社はかなり厳しいようだ。スレ主によると、局員は長時間労働による残業代で高級取りになっているが、制作会社では残業代なしがほとんどで、ボーナスも出ない。「ブラックすぎて笑顔になるくらい」だそうだ。
スレ主の場合は4年勤務して手取りは25万円。年収は400万円前後だというが、連日睡眠時間を削ってまで残業している割には少ないといえるだろう。また、局員は早稲田、慶應といった上位大学の出身者が多いのに対し、制作会社のスタッフのほとんどが高卒や専門卒。スレ主は「もっと良い大学目指して頑張れば良かったなー」と書いている。
■小さい制作会社では二重派遣状態になることも
制作会社の労働環境はかなり過酷のようだが、もし働きたいと思うなら、スレ主は各キー局の子会社になっている大手に入るべきだと説く。制作会社は大手を除くと、ほとんどが派遣だといい、「制作会社→大手制作会社→局」という二重派遣状態になることもあるのだそうだ。そのため、「若い会社や小さな会社に就職するくらいならこの業界には来ないほうがいいよ」とアドバイスしている。
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