2015年01月09日 11:31 弁護士ドットコム
家庭用ビデオカメラやパソコンの高性能化により、誰でも簡単に「動画」を撮影・編集して、インターネットでたくさんの人に見てもらえる時代になった。最近は、YouTubeを始めとする動画サイトが人気で、YouTubeに動画をアップして広告料を稼ぐ「YouTuber(ユーチューバー)」なる言葉も生まれている。
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だが、おもしろい動画を作ろうと思うあまり、街で不用意に動画を撮影して、トラブルを招くケースもあるようだ。昨年11月には、東京都内にあるグッズショップの担当者が、店内で商品を「無断撮影」する人がいたとして、怒りのツイートをしている。
店の中を撮影したり、その動画をネットで公開することについて、法的なルールはあるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。
「原則として、一般に公開されている店舗内の様子を撮影し、ネット上に投稿しても、それだけで店の利益を法的に侵害したとは言えません。
ただし、その店の管理者が、店内での撮影を禁止している場合には、話が変わってきます。
店に誰を立ち入らせるかや、どういう行為を認めるのかを決める権限を持っているのは、その店の管理者だからです」
そういう場所で、許可を得ずに無断撮影をしたら、どうなるのだろうか?
「たとえば無断撮影が見つかり、店から出て行くように言われても従わない場合には、不退去罪が成立する場合があります。また、無断撮影をする目的で、撮影が禁止されている建物に入ると、建造物侵入罪になる可能性も否定できません。
さらに、無断撮影した動画の公開の差し止めや削除、損害賠償請求がなされる場合もあります」
そうなると、動画サイトに投稿する目的で店の中を動画撮影する場合、撮影が許可されているかを確認したほうがよさそうだ。
「さらに、動画に人物が映っている場合は、肖像権やプライバシー権の侵害になり、動画の公開差し止めや削除、損害賠償請求といった対応がされる可能性があります。また、著作物を撮影している場合には、著作権法違反となる余地もあります。
やはり、撮影や動画公開に関しては、関係者に事前に説明し、同意をきちんと得ておくことがトラブルを避ける一番の方法です」
東山弁護士はこのように指摘していた。動画撮影はスマホなどで気軽にできてしまうだけに、他人に迷惑をかけないよう、十分注意すべきと言えそうだ。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
東山 俊(ひがしやま・しゅん)弁護士
東山法律事務所所長。大阪弁護士会所属。家事事件はもちろん、一般民事事件や刑事事件も幅広く取り扱っている。
事務所名:東山法律事務所
事務所URL:http://www.higashiyama-law.com/