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「ニコ生のヘイトコメントは酷すぎる」 反人種差別団体が「ドワンゴ」に対策要請へ

2015年01月07日 11:21  弁護士ドットコム

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排外主義的なヘイトスピーチや人種差別に反対する運動を展開している団体「のりこえねっと」は1月5日、ニコニコ生放送で視聴者の「ヘイトコメント」(差別発言)が放置されているとして、ニコ生の番組配信を一時中止する声明をホームページで発表した。近日中にニコ生を運営するドワンゴに対して、ヘイトコメントの排除対策を要請し、実現するまではニコ生を利用した番組配信を中止する。


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のりこえねっとは2013年9月、ヘイトスピーチに反対するために結成された団体で、日弁連元会長の宇都宮健児氏やマンガ原作者の雁屋哲氏らが共同代表として名前を連ねている。自分たちの主張を伝えるため、同年11月からほぼ毎週、インターネット生放送の最大手サービスといえる「ニコニコ生放送」で、ヘイトスピーチに抗議するインターネット番組を放送してきた。



ニコニコ生放送は、番組を見ている視聴者が画面上に「コメント」を投稿できるのが特徴だ。批判的なコメントもそのまま表示されるため、のりこえねっとも「多少のヘイトコメント書き込みは覚悟の上」だった。しかし実際には、「コメントの酷さは想像を超えるものだった」。



特に昨年11月、ヘイトスピーチに反対するデモ行進を生中継したときには、「朝鮮人 気持ち悪い」「半島に帰れ」「全員しゃさつせよ」「愚民衣装で図々しく街歩くな」などのコメントが数多く投稿され、「画面が真っ白になるくらいのヘイトコメントで埋め尽くされてしまった」という。



そのようなことから、ニコ生での配信を一時中止することにした。



●在特会の「有料チャンネル開設」も批判


また、のりこえねっとは、配信停止のもう一つの理由として、ヘイトスピーチの発信源だと問題視されている「在日特権を許さない市民の会(在特会)」が昨年12月、ニコニコ動画の有料チャンネルを開設したことをあげている。



声明では、「ニコニコ生放送運営側=ドワンゴが、直接ヘイトスピーチ動画によって、収入を得るということです。すなわち差別を楽しむものたちが増えれば増えるほど、ドワンゴが儲かるということです。これはどんな言い訳をしても、在特会の差別に加担するとしか言えません」と批判している。



のりこえねっと事務局長の川原栄一さんは弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「ニコニコでは、特定の民族に対する一方的な決め付けや貶めるような動画やコメントが蔓延している。また出演者を揶揄するようなコメントも多い」と語っている。



のりこえねっとは1月5日から、ニコニコ生放送での番組配信を中止し、同様のインターネット生放送の「YouTube Live」を使った放送へと切り替えた。川原さんによると、近日中に、ドワンゴに対して、在特会の有料チャンネルの取り消しや、ヘイトコメントが含まれる動画を削除することなどの対策を要請するという。



川原さんは「ニコニコ生放送を使う限りは、番組に出演しないと言われたこともある。今回、ニコニコ生放送を一時中止したことについて、『英断だ』という声もあった。ドワンゴには、私たちの要請について、誠実に対応してもらいたいと思っている」と話していた。


(弁護士ドットコムニュース)