映画『ザ・トライブ』が、4月18日から東京・渋谷のユーロスペース、新宿のシネマカリテほか全国で公開される。
ウクライナの新人監督ミロスラヴ・スラボシュピツキーのデビュー作となる同作。ろうあ者専門の寄宿学校を舞台に、学内外で犯罪や売春などを行う組織「トライブ」の中で徐々に高いポジションを獲得していった新入生のセルゲイが、組織のリーダーの愛人のひとりで売春をしている少女・アナに恋をしたことから、組織のルールを破っていく、というあらすじだ。昨年の『カンヌ国際映画界』批評家週間でプレミア上映され、グランプリを含む3つの賞を獲得している。
同作は、全編にわたって手話のみで構成。字幕や吹き替えは用意されず、出演者もオーディションなどで選出されたろうあの役者となる。「決してこの映画を声の出る俳優たちでつくろうとは考えなかった」というスラボシュピツキー監督は、字幕を用いない理由について、「構想の時点からすでに決めていた。私から見れば、観客が一語一句忠実に会話を理解できなくとも、パントマイムや歌舞伎のように全体として何が起こっているのかがわかることがむしろ重要だった。『ザ・トライブ』は、おそらく催眠状態と言ってもいいような潜在意識下から新しい感情を呼び覚ましてくれるように思う」と語っている。