2015年01月02日 13:21 弁護士ドットコム
本格的な冬の到来を迎え、全国各地で大雪があいついでいる。雪国で暮らす人にとって、「雪かき」は避けて通れない問題だ。北海道の豪雪地帯に住む主婦のYさんは、お隣さんの自分勝手な「雪かき」に悩んでいるという。
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Yさんの自宅は、交通量があまり多くない片側一車線の道路に面している。自治体の除雪車がまわってくるが、「呼べばすぐに来てくれる」というわけではない。また、自宅の車庫から道路に出るまでの歩道は、自分で雪かきをする必要がある。
昨年引っ越してきたYさんのお隣さんは、除雪機を自前で持っている。お隣さんは、自分の家から車道までをその機械で除雪するのだが、迷惑なことに、Yさんの自宅前の歩道部分に「除けた雪」を捨てることがあるそうだ。そんなとき、Yさんは余分に「雪かき」しないといけない羽目になる。
Yさんは「自分だけ良ければいい」という態度のお隣さんに対して、文句を言いたいと考えている。だが、自宅の敷地内に雪が置かれているわけではないので、ためらっているのだそうだ。こうしたお隣さんの「雪かき」をやめさせることはできるのだろうか。雪国の北海道札幌市で開業する大久保誠弁護士に聞いた。
「雪を自分の敷地内に捨てられたときは、所有権に基づく妨害排除請求として、捨てた人に対してそれを除去するよう要求できます。
しかし、今回のYさんのケースでは、お隣さんが雪を捨てたのは車道につながる歩道、つまり公道です。個人の所有地ではないので、妨害排除請求はできないでしょう」
大久保弁護士はこのように述べる。Yさんは泣き寝入りするしかない?
「いいえ、公道であれば、道路交通法や道路法の適用がありえます」
道交法では、『交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路においてはならない』と定められています(76条3項)。違反した場合は、刑事罰の可能性があります(119条1項12号の4)。
また、道路法は、道路で『交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為』をしてはいけないと規定しています(43条2号)。こちらも違反した場合に刑事罰の可能性があります(同法100条3号)
Yさんのお隣さんは、Yさんの自宅前に雪を捨て、Yさんの交通を妨害、もしくは支障を及ぼしていると評価できるので、これらの規定に違反する可能性があります」
お隣さんの行為は、刑事罰を受ける可能性があるわけだ。では、Yさんは具体的にどうすればよいのだろうか。
「警察に連絡して警察から注意をしてもらう、それでも改善されないときは、告訴をするしかないでしょう」
大久保弁護士は「この冬はすでに大量の降雪が全国各地でありました。今後ますます降雪量は増えるでしょうから、マナーを守った除雪をして、気持ちよく暮らしたいものです」と述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/