いよいよ2014年も残すところわずか。この大晦日の名物といえば、やはりNHKで放送される「NHK紅白歌合戦」だろう。
年末にかけてのツアーを終え、「第65回NHK紅白歌合戦」にも出場する椎名林檎さん。彼女のオフィシャル単行本が12月25日に出版され、話題になっている。
『音楽家のカルテ』(椎名林檎/著、スイッチ・パブリッシング/刊)は、雑誌「SWITCH」誌上にて2007~2014年に掲載された椎名林檎さんのロングインタビューを完全収録した176ページの「完全保存版」インタビュー集。激動の日々を送った彼女の7年間が彼女自身の言葉で語られており、ファンならずとも読みどころ満載だ。
■「深読み」に悩まされてきた音楽家
椎名林檎さんは、1998年に「幸福論」でデビューしてから2003年「りんごのうた」のリリースを最後に、一旦ソロ活動を停止するまでに『無罪モラトリアム』をはじめ3枚のオリジナル・アルバムを発売した。
いずれもヒットを記録し、社会現象にもなった作品たちだが、独特の世界観を持った歌詞のため、どんな曲を作っても深読みされたり意図しない方向に受け取られたりすることに悩むことも多々あったそうだ。本書のInterview3「音楽家のタブー」では、「ファーストアルバムの曲で、ちょっとした言葉遊びみたいなつもりで書いた歌詞の部分が、何かものすごくシリアスな分析をされた時にはかなり驚きました」と、その苦悩が語られている。
■『NIPPON』に対する批判への本音
先月5枚目のソロアルバム『日出処』をリリースした椎名林檎さん。このアルバムに収録された『NIPPON』は、今年のNHKサッカー放送のテーマソングとしてブラジルワールドカップ期間中によく耳にしたが、歌詞について「右翼的なのでは?」という声がネット上で物議を醸した。そのことについても触れられており、「正直心外でした」と本音が吐露されている。また、ニューアルバム『日出処』というタイトルについても言及しており、椎名さんの作品に対する想いが明かされている。
批判に意識的でありながらも真摯な彼女の言葉は、この本の読者の心に響くことだろう。
本書はインタビューだけでなく、撮り下ろしのグラビアや未公開ドキュメント写真も掲載。椎名林檎さん自身による音楽リコメンド企画も収録されている。
椎名林檎の激動のキャリアを読み解くためのヒントが数多く隠されている、ファン必携の一冊だ。
(新刊JP編集部)