2014年12月22日 14:31 弁護士ドットコム
「インターネット上の広告を見て興味を持ち、海外業者と『バイナリーオプション』の取引を始めたが、出金を求めても応じてもらえない」。最近、そんな相談が全国の消費生活センターに数多く寄せられるようになった。
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バイナリーオプションとは、為替相場などが「上がるか下がるか」を予想する金融派生商品で、取引期間が終了したときに自分の予想が当たっていれば、一定額の金銭を受け取ることができるというものだ。
ネットでは、「一瞬で80万GET」「お金を簡単に稼げる」といった甘い言葉を記した広告サイトがいくつも作られていて、海外の業者のサイトへ誘導している。だが、国民生活センターによると、こうした海外業者とのバイナリーオプション取引でトラブルが頻発しているという。
いったいバイナリーオプションをめぐって、どんなトラブルが起きているのだろうか。また、取引をする場合、どんな点に注意すべきなのか。金融商品にくわしい桑原義浩弁護士に話を聞いた。
「バイナリーオプションをめぐる問題は、海外の業者に関する相談が多いようです」
桑原弁護士はこのように切り出した。具体的には、どのような相談内容なのか?
「実際には利益が出ているのに利益分を返金してもらえない、といったことを聞いたことがありますね。
海外の業者であっても、日本で、日本の顧客のお金を預かってバイナリーオプション取引を行う場合には、金融商品取引業者としての『登録』が必要になります。
まず、この『登録』がなされているかどうかを確認することが重要でしょう。未登録の業者はリスクが高いので、取引をするべきではありません」
業者が、きちんと「登録」しているかを確認することは、取引をするうえで必須の条件といえそうだ。桑原弁護士によると、気をつける点はそれだけではないという。
「海外の業者の場合は、さらに注意が必要ですね。たとえ登録業者であっても、所在地が日本にないので、連絡を絶つことも簡単です。
初めのうちは連絡が取れていても、客に利益が出始めるとそのうちに連絡が取れなくなってしまうということもありえます。」
もしバイナリーオプション取引をするのであれば、国内の業者にした方が無難と言えそうだ。
「バイナリーオプション取引は、金融派生商品ということで、一見すると投資するかのように思えます。しかし、その仕組みを簡単に言うと、特定の相場が上がるか下がるか、を予想するものです」
そうすると、投資信託のような金融商品とは、まったく違うということなのだろうか。
「そうですね。バイナリーオプション取引の本質は、サイコロの目が偶数になるか奇数かになるかという『丁半ばくち』と極めて似た性質があると言えるでしょう。
最近はSNSでも『簡単に儲かった』という広告を目にしますが、『ばくち』の要素が強い以上、必ず儲かるということはありえません」
桑原弁護士は「損することを覚悟のうえでやるのであれば、仕方ありませんが、取引をする場合は慎重に業者を選ぶ必要があるでしょう」と話していた。国民生活センターも「バイナリーオプション取引はリスクの高い取引であることを理解し、無登録の業者との契約は行わないようにしましょう」と注意を呼びかけている。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
桑原 義浩(くわはら・よしひろ)弁護士
日本弁護士連合会消費者問題対策委員会(金融サービス部会、違法収益吐き出し部会)、福岡県弁護士会消費者委員会、民事手続委員会、司法修習委員会等。全国証券問題研究会、全国先物取引被害研究会などに多数参加している。
事務所名:弁護士法人しらぬひ柳川事務所
事務所名:弁護士法人しらぬひ柳川事務所
事務所URL:http://www.shiranuhi-law.com/