2014年12月22日 10:51 弁護士ドットコム
低賃金のアルバイト学生に過剰な働き方を強いる「ブラックバイト」。そんな環境で働いている若者やその周囲にいる人たちに向けた「対策セミナー」が12月21日、東京都内で開かれた。
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セミナーを主催したNPO法人POSSEの今野晴貴代表(@konno_haruki)は、「ブラックバイトを続けることは、将来ブラック企業に入るための訓練をしているようなもの」と指摘。そうした状況から抜け出すためにも、労働法や弁護士をうまく活用すべきだと語った。
「全国展開している某100円ショップでは、アルバイトとパートが実質的に店を管理していて、正社員の店長は何年かに1度しか来ないという状態でした。売り上げを左右する商品ディスプレイや、商品を何個買うかという在庫管理、発注も学生バイトが行い、業績そのものを背負っていました」
今野さんは「経営戦略としてアルバイトに依存するのが、ブラックバイトの特徴だ」と話す。
「重い責任を負わせる割に、時給は最低賃金に近く、そのうえ仕事に必要な道具を自腹購入させたり、残業代を支払わない会社もあります。責任を負わせるのに、それに対する対価がない。また、ろくに研修もせず、責任を負えるだけの教育もなされないのです」
前述の100円ショップでは、研修は「先輩バイトからの教育」だけだったという。
なぜ、アルバイトたちはそんな職場でも働くのか。
「辞めたいと言っても、『知り合いの暴力団に言いつける』『親に損害賠償請求する』などと脅されて引き止められるケースもあります。
将来奨学金を返済するために、学生のうちから貯金をしているなど経済的な事情があるケースや、学校のキャリア教育で『バイトをすれば就活で有利』などと刷り込まれているために、辞められない場合もあります」
アルバイトの主力である若者たちは、経験や知識が十分にあるわけではない。企業側はそこにつけ込んでくるのだという。
会社の過剰な要求や明らかに違法な働き方をさせられても、会社からやれと言われればイヤと言えずに学生は「順応」してしまう。そして、それは「ブラック企業的な働き方をすることに慣らされているにすぎない」と、ベストセラー『ブラック企業』の著者でもある今野さんは語る。
そこに順応しないで、そこから脱するためには、まずアルバイト自身がそうしたおかしさに気づくべき、ということになる。そのために必要なのは、労働法の知識だと、今野さんはいう。
「会社からやれと言われたからといってそこに埋没せず、一歩引き下がって『これは違法ではないのか?』『このままでは自分がつぶれてしまうのではないか?』と考え、弁護士やユニオンなど専門家に相談してみることが大切です。
労働法違反だなどと言えば周囲に迷惑がかかると考えて、自分が我慢すればいいと思っている人もいます。でも、我慢した結果、どうなるのか考えてみてください。うつ病にでもなれば、治療費がかかって家計を圧迫します。学校に行かずにバイトばかりしていては、親が出してくれた学費が無駄になります。
労働法を使うことは、ただ単に『会社に対抗する、戦う』ことではなく、自分や家族を守ることなんです」
(弁護士ドットコムニュース)