与党圧勝に終わった総選挙に先立つ12日、TBSラジオ「荒川強啓デイ・キャッチ!」で雇用をテーマにした座談会が行われた。その様子をキャリコネニュースが記事化したところ、ネット上で大きな話題となった。
働く人の3分の1以上が非正規雇用で、正社員との格差が拡大している現状を踏まえ、番組に出演した人事コンサルタント・城繁幸氏と投資家・やまもといちろう氏、社会学者・宮台真司氏は「正社員待遇を引き下げざるをえない」という見方を提示した。
「なんで下に合わせるのが当然なの?」と反発
こうした意見に、ニコニコニュースやBLOGOSの読者コメントで賛否が分かれている。まず目立ったのは、非正規という雇用形態をなくし、すべて正社員にすべきという意見だ。
「いいから派遣つぶせよ」「とりま非正規なくせよ」
非正規雇用を許容するとしても、正社員の待遇を引き下げるのではなく、非正規の待遇を改善すればいいだけだという意見も数多くみられる。
「なんで下に合わせるのが当然みたいなこと言ってんの? 増収増益うたってる企業は働いてる人間に還元するのが当然でしょ」
正社員の待遇をそのままに、非正規の待遇を引き上げるのは「原資に限りがあるので困難」という企業側の主張は納得できないようだ。正社員の中にも若者を中心に低収入にあえぐ人もおり、待遇を引き下げることで「さらなる少子化」を生み出すのではという声もある。
宮台氏の「能力のない足を引っ張っている正社員を雇い続けるのは『反公共的』」という主張に対しても、行き過ぎた競争社会の中で落ちこぼれた人たちが住みにくい社会になると不安がる声が多い。
「安定性を外して成果主義にしたらもっと子供を作る人は減るだろうね。だって将来どうなるかわからないんだもん」
「非正規推進すると将来に不安がある層は当然子供作らず少子高齢化が更に加速。で、移民に頼らざる得なくなると」
「これからの時代はスキルが身につかない落ちこぼれは生きる資格がないとでも?日本国民総貧困層になるのか」
中小企業の「名ばかり正社員」は、これ以上待遇を下げなくていい?
その一方で、実際に正社員として働く人たちからは、現状の待遇を維持することはもはや難しいと感じている人もいるようだ。
「同意。俺も常に覚悟してる」
「今後は正社員も解雇がしやすくなり、その差がどんどんなくなる」
正社員の待遇抑制が避けられないのであれば、働く側はサボタージュによる抵抗をすればいいとして、「皆でちょっとずつ怠けるくらいがちょうどいい」いう過激な呼びかけも。
ただし人材コンサルタントの深大寺翔氏は、番組識者と読者との対立について「微妙な誤解がある」と指摘する。
「宮台氏などが『反公共的』と糾弾しているのは、終身雇用の名残の中で不良債権化している『働かないおじさん』たち。具体的には35歳以上の大企業のサラリーマンです。すでに『名ばかり正社員』として給与が据え置かれているそれ以外の人たちは、識者の攻撃対象ではなく、これ以上待遇を下げるべきではないと思いますよ」
城氏とやまもと氏からは、個人の「プロ意識」の強化とともに、社会の「セーフティーネット構築」に関する提言もあった。これまで企業に負担をかけていた社会保障のある部分を、本来担うべき国や社会全体に移していくというものだが、
「企業に縛られず、自分自身リソースを確保してのセーフティーネットを構築するような時代に変えていかないと」
と、今後は国や企業に頼らず自己責任でやっていくとコメントする人もいた。
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