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居酒屋店員が苦労する「お客様アンケート」の回収 高いノルマが達成できず、つい…

2014年12月18日 11:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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ワタミで重要なイベントの1つに「メニュー変更」があります。旬や流行を取り入れて新しいメニューを追加したり、既存のメニューを改善したりします。新メニューは本社が企画して食材を送ってくるのですが、各店舗からアイデアを募ることもあります。

ただし飲食店にとって、最も大事なのはお客様の声。新メニューを提供した後、その反響を確認するために「アンケート調査」を行っていました。それを行うのは店員でしたが、この調査が非常に困難なものでした。(文:ナイン)

お客は「何か割引とかあるの?」と聞いてくるし

メニュー変更から数か月すると、本社から「アンケート用紙」が送られてきます。新メニューの反響について、良いところと悪いところをお客様に直接聞き、次のメニューに活かします。今出ているメニューの味付けなどを、これを元に変更する場合もあります。

そのこと自体はいいのですが、アンケートをお客様に頼むと、決まって「これ書いたら、何か割引とかあるの?」と言われるのです。

お客様からしてみれば、そうですよね。会社が勝手にやっているアンケートですから、答えることに何かしらのメリットが欲しいところです。

ですが本社は、こういった事情を知ってか知らずか、回答者に対する割引やサービスなどせずに、ただ「アンケート調査を行ってくれ」としか言わないのです。まあ、割引などがあるとコストがかかるし、正確な情報が得られないのかもしれませんが。

もうひとつ困ったのは、アンケート用紙の回収枚数のノルマがあったことです。ノルマは店の平均の入店客数から割り出したもので、達成できないと上司から厳しく言われるため、社員たちは必死にアンケートを集めていました。

しかしお客様に謝礼もないわけですから、回収には苦労します。店員も多忙を極めています。そこで「このままでは期限までにノルマを達成できない」と分かってしまったら…。もう想像がつくと思いますが、社員自らアンケートを書くしかありません。

「叱責の恐怖」が不正を招く

「それじゃアンケートの意味ないじゃん」

と言われるかもしれません。しかし達成が難しく、その一方で「上司からの叱責の恐怖」というプレッシャーがある場合には、それから逃れるために不正が生じやすくなります。

「集まらなければ仕方がない」と叱責覚悟で不正をしなかった店舗もあるのでしょうが、かなりの店舗で店員が書いていたと思います。私の知る限り、1つの店舗当たり3分の1くらいは、社員たちが書いていました。

もちろん私たちもお客様の声を集め、メニュー開発に協力したい気持ちはあるのです。しかし集まらないのですから、そうするしかありません。

それに、従業員も味見をしたりしているので、まったく無意味な情報というわけではありません。アンケートの記入がなくても、お客様の注文や感想、残った皿の状況から「この味付けは濃すぎるんじゃないかな?」といったことくらいは分かります。

「お客様の声を集めよう!」という呼びかけは、どの業界でも行われていることですが、その収集は現場に任されることが多いものです。現場の状況をよく踏まえていかないと、必要な情報も集められないと知って欲しいと思います。

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