東京大学といえば、日本の最高学府の最高峰。入れるのは学力優秀な学生であることには違いないが、いくら一生懸命勉強したからといって、10代の終わりに実施したペーパーテストの結果を、後生大事にプライドの根拠にするというのも滑稽な話だ。
実際、社会人になってから民間企業で「期待はずれ」と言われる東大卒も少なくないようだ。日本企業にはびこる働くゾンビたちの生態に迫る「ワーキングデッド」(BSジャパン)、2014年12月11日の放送は、「東大卒こだわり過ぎデッド」の困った実態を紹介していた。
上司の叱咤にも「早稲田、ジェラシー」と反抗
東大卒の東出(35)は、某大手企業に10年以上に渡り生息するゾンビ。再現VTRでは、東大卒をアピールしたいというだけで、東出が「大学どこ? ふーん、俺、東大」と他人の出身校を訊ねまわっていた。
東大卒以外の社員が仕事の書類を確認して欲しいと言っても、「レベル低い。読まなくても分かる」と、あからさまに見下して見ようともしない。口を開けば「偏差値いくつ? センターいくつ?」と問いかける。
そして「学歴が人生決める」と断言し、「俺の友達、官僚、医者、学者!」と自慢話を垂れ流すのだ。しかし後輩が「でも東出さん、いまだに係長じゃないですか」と指摘すると、「オレトウダイ!」とキレて会話にならなくなった。
このゾンビは女性に近寄る時にも、「クリスマス、赤門見に行かない?」などと学歴に頼る。彼氏と予定があると言えば、「彼氏大学どこ?」。マサチューセッツ工科大学と答えると、唯一の自慢である学歴のプライドを傷つけられたのか、「東大ナンバーワン!」と叫んで再び暴走していた。
同じ東大卒なら意気投合するが、文系と知れると理系卒には相手にされない現実も。業を煮やした上司が「いいかげん会社のために貢献して、それを自慢すべき」と叱咤したが、「ジェラシー。課長、早稲田…」とつぶやくばかり。東大卒以外の忠告には耳を貸さないので、成長しないまま時が過ぎていくのだった。
バブル時代のクセが抜けない迷惑「やんジー」
大学プロデューサーで「危ない大学」(洋泉社)などの著書をもつ倉部史記さんは、成績で人間の価値が計られやすい学校制度が、こんなゾンビ増加に拍車をかけているという。そういえば、一橋や早慶を誇りにする人もいるような。
「東大は受験勉強では一番優秀。しかし仕事では、活躍できている人とできてない人がいる。できていない人は、学歴が拠って立つところすべてになりがちです」
番組ではそのほか、「過剰やんジーデッド」も紹介した。やんジーとは「バブルを駆け抜けたやんちゃなジジイ」の略。仕事をせず、おしゃれに励んで女性にモテることだけを考えて生きているらしい。
某広告代理店では、南部(58)というゾンビが忙しい時に限っておしゃれアイテムを自慢してくる。事あるごとに同世代の社員を「枯れている」と侮辱するが、いざ仕事になると会議ではなんの見識も出せない。
決定事項の確認を忘れ、自分が普段バカにしている「枯れジー」からたしなめられると、「了解~」と軽く返事を返していた。その一方で、若い女性社員を「姫ーナ」と呼んで口説き、「週末、ディナー、リストランテ、週末、ゴルフ、温泉」としつこく誘って、誕生日にはワインを贈る。
「過去に囚われ現在が見えていない」という共通点
女性は嫌がりセクハラそのものだが、弱点は「奥さん」だ。やんジーはカード明細を押さえられ、電話で「早く帰ってこい」と怒鳴られると、たちまち元気をなくして帰宅して行った。
やんジーへの対処法は、「スマホの録音機能で録音して人事部や専門機関に相談すべき」とのこと。証拠がないと泣き寝入りになってしまう。
それにしても「東大卒」にしても「やんジー」にしても、10代の終わりから20代の青春時代を引っ張り、過去の栄光に囚われ現在が見えていない。というより、見ようとしていない現実逃避の結果がこれなのだろう。(ライター:okei)
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