フォーミュラE第3戦(プンタ・デル・エステePrix)で勝利した、e.ダムス・ルノーのセバスチャン・ブエミ。シーズンオフから本命候補と目されていたドライバーが、ついに結果を手にした。
「素晴らしい日だった。ドニントンパークのテストで、僕たちはとても速かったから、良いシーズンにできると思っていたんだ」
そう喜びを語るブエミ。しかし、開幕戦の北京、そして第2戦プトラジャヤ(マレーシア)では満足いく結果を出すことができず、落胆していたようだ。
「北京は最悪のレースだったし、プトラジャヤはそれよりかは幾分良かったものの、3位止まりだった。でも、ここでついに完璧な勝利を手にすることができたんだ。ようやく結果を出せて嬉しいよ」
レース終盤には、今回から参戦したジャン-エリック・ベルニュと激しいバトルを繰り広げたブエミ。ファンブーストを使って追い上げたベルニュを、必死に抑え込む姿は印象的だった。最終的にはベルニュのトラブル発生で決着を見たが、ブエミには最後まで抑え切る自信があったようだ。
「彼がファンブーストを使おうとしていることは知っていたよ。彼が僕へのアタックを始めたとき、僕はエネルギーを節約していたんだ。リスタートの際、シケインで2回もリヤホイールをロックさせてしまったけどね」
この勝利で、ブエミはドライバーズランキング2位(1位はルーカス・ディ・グラッシ)、チームはランキングトップに立った。ブエミは、チームランキングに続いてドライバーズランキングでも、首位を目指すとしている。
「もちろんトップに追いつけると思ってる。ドニントンのような普通のサーキットでは、僕らは速かった。でも、市街地コースに適応するのに苦労していたんだ。でも、良い妥協点を見つけることができたよ」
フォーミュラEのマシンはまだまだ開発段階にあると言っても過言ではない。そのため、バッテリーの容量も非常に限られているし、全力走行すればすぐにエネルギー切れを迎えてしまう。つまりレースで勝つためには、速さ云々よりも戦略面をいかに上手くこなすかという点が重要なのだ。
「戦略面を学ぶのは、かなり重要だね。ここまでは、セーフティカーが多く出ているから、その分エネルギーを節約できているけど。他には、ストレートエンドでアクセルを戻して、エネルギーを節約するんだ。それも問題なかったな。僕らは最初の2レースで、多くのことを理解することができたんだ」
フォーミュラEのマシンは、従来のレースカーと比べて音が小さく、また速度域も低いために迫力に欠けるとの指摘もある。しかし、ブエミはこのシリーズを、楽しめていると語る。
「僕はこのレースを、本当に楽しめているよ。勝ったから言ってるわけじゃないんだ。観客の皆さんも、楽しんでくれているんじゃないかな。こんな風にシーズンが続いていけば、とてもいい年になると思うよ」
次のレースは年明けの1月10日、アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの市街地コースで行われる。このレースでブエミは、当然連勝を目指す。
「アルゼンチンはとても良い国だから、行くのを楽しみにしてるんだ。しかも、速度域が速くて、良いコースだと聞いている。綺麗な場所らしいね。次も勝って、楽しめるといいね」