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「クリスマスイブはカップル入店お断り」 飲食店の「スタッフへの配慮」は許される?

2014年12月16日 15:11  弁護士ドットコム

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クリスマスの鐘の音が近づき、イブをどう過ごすか、落ち着かない人もいるだろう。そんななか、東京のスパゲッティ店に張り出されたという「クリスマス・イブは、カップル入店お断り」という張り紙が話題になっている。


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ネットで注目を集めているのは、「当店スタッフへの精神的ダメージが強いため12月24日(水)はカップルの入店をお断りさせて頂きます」と書かれた張り紙の写真。メッセージの横には、手をつなぐカップルの絵が描かれているが、その上には大きなバツが・・・。この写真は12月5日に投稿されたが、1万7000人以上にリツイートされ、大きな反響を呼んでいる。



この張り紙に対しては、「店長ナイス!!!俺は支持する!!」など好意的な意見もある一方で、「差別じゃないのか?」「スタッフの精神面を優先するな笑」と、カップルを入店禁止にすることに否定的な意見も見られた。



たしかに、クリスマスイブを一人で過ごす人にとって、カップルが仲睦まじく食事する姿を見るのは辛いかもしれない。しかし、店が、カップルに限って入店を拒むのはどうなのか。一般論として、飲食店が店側の基準で客を「選別」することは、法的に問題ないのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。



●民法にある「契約自由の原則」


「この張り紙については、ネット上では賛否両論の意見がありましたね。法律的に考えればどうなるのでしょうか。結論を先に言ってしまいますが、適法です」



西口弁護士はこう説明する。カップルにとっては不公平な気もするが、どういう理屈で、適法といえるのだろうか。



「まず、店を管理しているのは、店長です。法律上、店長は、管理権に基づいて『誰を店に入れるか、入れないか』という選択権を持っています。



また、店では『飲食物の提供』といったサービスを売り物にしています。要するに、飲食店で飲食物を注文し、店側が飲食物を提供する行為は、『契約』ということになるのです」



契約だから、店長は自分の好きにしていいということになるのだろうか。



「そういうことになりますね。民法の世界では『契約自由の原則』という考え方があります。これは、誰もが自分の自由な考えに基づいて、自由に契約を結ぶことができるというものです。



この原則があるので、店が客の注文を拒否したとしても、法律上、問題はないことになるのです」



店は「客を選べる」といってもよいのだろうか。



「はい。ただし、人種による入店拒否は別です。人種差別として違法になる可能性が高いです。また、法律上の問題はないとしても、『あの店は入店を拒否した』というように評判が低下してしまう危険性はありますので、入店を拒否するかどうか、店の経営を考えて慎重に判断すべきことは言うまでもありません」



たしかに、経営を考えるならば、クリスマスはかきいれどきだ。カップルだったら、財布のひもも緩んで高い料理をたくさん注文してくれそうなのに、この店長は思い切ったことをしたといえるかもしれない。



「そうですね。しかし、せっかくのクリスマス・イブです。固いことを言わず、ジョークとして楽しんでもいいのではないでしょうか。みなさんはどんな風に感じますか」



西口弁護士はこのように話していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じて、未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/