12月14日に投開票が行われた第47回衆院選で、共産党が公示前の議席数8から21へと大躍進を果たした。2ケタ議席の獲得は2000年以来、14年ぶり。ネットでは共産党に対し、ブラック企業対策に期待する声が相次いでいる。
今回の選挙で争点となったのが、アベノミクスの是非だ。自民党は「景気回復、この道しかない」をスローガンに、2年間の経済政策の効果を強調。これに対し民主党は訴求力のある対案を出すことができなかった。
「自分の意見が国政に反映されているのを感じる」
一方で共産党は、消費増税や集団的自衛権への反対に加えて「ブラック企業対策」を各地でアピール。しんぶん赤旗によると、志位和夫委員長は7日、東京・新宿駅前の集会でサービス残業の規制に言及。現状の規制は不払い分の賃金を払えば済むので「何の歯止めにもなりません」と指摘し、
「ですから、サービス残業をやった場合は2倍のお金をちゃんと払わせる。こういう規制をやって、長時間労働をなくしていく」
と語っていた。今回の躍進の背景には、同党が行ってきたこうしたブラック企業対策を支持する人が多い、ということもあるようだ。ネット上では、14日夜に共産党の大躍進が伝えられると、保守的な論調の強い2ちゃんねるにも歓迎のコメントが殺到した。
「ブラック企業の経営者たちはガクブルだな。悪質なブラック企業がこの世からなくなりますように…」
「社畜の声が届くまで何年かかるんだ。マジで頼む早く」
「できることならブラック企業を完全排除してほしい」
自民党への批判票のやり場として、比例で共産党に入れた人も多かったようで、「やっと自分の意見が国政に反映されてるの感じるわ」と喜ぶ声もある。議案提案権を行使できる20議席を超えたことに期待する声も多い。
「攻勢の議案提案ができるって強いよな。ブラックやサビ残に対してどう思っているか議員全員に踏み絵させることができる」
議席数21は与党に対してあまりに少なく、法案を出しても簡単に否決されてしまう可能性がある。しかし、ブラック企業規制法案やサービス残業規制法案を否決することは、与党にとってもイメージダウンになるので、議案提案権も決して「無駄ではない」というのだ。
共産党広報「ブラックな労働環境なくせば光が出てくる」
ネット上で共産党支持の声が広がっていることについて、キャリコネニュース編集部が広報部に取材したところ、担当者は「それはうれしいですね」と喜びのコメントを寄せた。
そして有権者の支持が広がった要因のひとつに、参院に提出した「ブラック企業規制法案」をあげた。成立には至らなかったが、厚生労働省が動き出し、全国5000の事業所に立ち入り検査を行うという隠れた成果につながった。
「それだけ『日本のブラックな労働環境を変えたい』と思っている人が多いのだと思います。今度の選挙で議席が倍増したことで、参議院につづいて衆議院でも議案提案権を得ることができました。働く人をモノ扱いするようなブラック企業を規制する法案を、引き続き出していきます」
今回は選挙戦中も、ネット上で共産党を支持する動きがあった。東京12区から立候補した池内沙織氏(32)の選挙戦最終日の演説に、ネットでつながった支持者が集まり「池内コール」が起きた。担当者はネットが「政治を動かす新たなツール」になっているとし、
「共産党の若い候補者たちを、若者が自分たちの代表として応援してくれました」
と今回の選挙戦を振り返る。ネットで支持層が増えるに伴い、共産党へのイメージも変わってきているのを感じているといい、同党広報部は、
「これまでは『言っていることは正しいけど小さい政党』という印象を持たれていましたが、議席数を伸ばした13年の参院選ごろから、『正しいことを貫けば世の中に通じるんだ』という空気が広がってきていると思います。みんなで連携してブラックな労働環境をなくせば光が出てきます。安心して子どもを産み、育てられる世の中になります」
と話していた。
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