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「錆びないネジ」で世界シェア率7割! 東大阪市の竹中製作所が人材募集中

2014年12月15日 15:40  キャリコネニュース

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「日本のモノづくり中小企業」を特集する連載の第5回。今回紹介するのは、錆びないネジ(ボルト・ナット)の国内外シェア70%を誇る、東大阪市の竹中製作所だ。

同社の主力製品である「タケコート1000」は、フッ素樹脂を用いて独自の表面処理を施した耐食性に優れたネジで、塩水噴霧試験では6000時間耐久するという結果を出している。錆や焼きつき問題を解消し繰り返しの使用が可能になるため、初期投資は高いが、クライアントにとって取り替え時の時間短縮や人件費を含む「ライフサイクルコスト」が軽減されるメリットがある。

技術を真っ先に認めた米エクソンモービル

「タケコート1000」は、現会長の竹中弘忠氏が1983年にアメリカの海洋構造物展覧会を見学したことをきっかけに開発された。

石油の掘削装置であるオイルリグの鉄骨やパイプラインには、錆を防ぐフッ素加工がされていたものの、ネジには加工が施されていなかった。ここに着目して錆びないネジの構想に至り、京都大学との産学共同で実現化した。

開発から4年の間、日本国内の企業を回ったが、ほとんど受注できなかった。そこで売り込んだのが「スーパーメジャー」の一角、米国のエクソンモービル社だ。幸い当時の技術部長に認められ、マレーシア沖の石油掘削工事のボルトとして採用された。

これを契機に、国内の企業も「タケコート」を使用するようになった。明石海峡大橋や東京湾横断道路の公共建設工事を始め、地下セグメントや地下埋設管、海洋構造物、石油化学プラントなどの耐腐食性が求められる締付用ボルト・ナットとして広く利用されている。

同社が扱う商品は、ネジだけではない。1989年には電子機器事業部を発足。高速道路や鉄道、車両に搭載するモーター制御機器や、監視カメラに用いられる画像処理装置の開発を行っている。また、温かいものと冷たいものをトレーの上で同時に適温にすることが可能なIH技術を開発し、病院で使う配膳カートなどで実用化している。

カーボンナノチューブを用いた表面処理材料を世界初で開発

1994年に発足した表面処理事業部は、世界で初めて極細のカーボンナノチューブを用いた金属等の表面処理材料である「ナノテクト」を開発している。

カーボンナノチューブは導電性と耐久性が高い素材であるが、「ナノテクト」ではこの導電性を抑え絶縁性を高めたことで、すきま腐食に効果を高めた。耐久性、耐熱性にも優れており、「タケコート」に次ぐ世界展開を目指す。

2015年に80周年を迎える同社は、従業員数155名の大半は30代前半だ。20代・30代の社員が多く、若手社員が活躍している。

毎年5?10名ほどの新卒採用も行っており、現在はボルト事業部(営業・技術)と電子機器事業部(技術)で人材を募集中だ。求める人材は、物事を自分で掘り下げて考え、取り組むことができる人物だという。

また必須ではないが、TOEICが600点ほどある人材は歓迎だという。同社は2013年に初の海外営業所をアラブ首長国連邦のアブダビに設置するなど、グローバルな展開を視野に入れている。技術希望の場合は、工学部の機械系、金属系、電子機器系で勉強した人を募集している。

新卒の採用はリクナビから、中途採用希望者は同社のホームページの採用情報から担当者にメールを送って欲しいとのことだ。(取材・執筆:早稲田大学大学院ジャーナリズムコース修士2年・林佑香)

※本記事は読者の就職先選びに資する情報として、経済産業省「グローバルニッチトップ企業100選」からキャリコネ編集部が独自に選定した企業を取材したものです。

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