2014年12月13日 17:01 弁護士ドットコム
警察庁が11月下旬に発表した道路交通法施行令の改正案で、スマートフォンを操作しながら自転車を運転することの取り扱いが、ネットで話題になった。いわゆる「チャリスマホ」と呼ばれる行為が、道交法が禁じる「危険行為」にあたるかどうかが、問題とされたのだ。
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自転車利用者は、危険行為で繰り返し摘発されると、安全講習の受講が義務づけられる。その意味で、なにが危険行為に含まれるかが重要だ。今回、警察庁は、道交法施行令の改正案で、「危険行為」の具体的な内容として、信号無視や酒酔い運転など14項目を挙げた。
このうち、安全運転義務違反という項目について、時事通信は「スマートフォンを見ながらの運転も含まれる」と報じた。一方、NHKは、スマートフォンを操作しながら自転車を運転して「事故を起こした」場合に危険行為になると伝えた。つまり、単にチャリスマホをしただけでは「危険行為」にあたるわけではないというのだ。
厳密にいうと、どちらの報道が正しいのか。「チャリスマホ」をすること自体が、道交法が禁じる「危険行為」にあたるのかどうか。警察庁交通局に聞いてみた。
警察庁は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、チャリスマホは「安全運転義務違反」(道路交通法70条)にあたる可能性がある、と回答した。
ただ、「チャリスマホ」で自転車を運転するだけで、すぐに「安全運転義務違反」になるかと言えば、そうではないようだ。
警察庁は、「安全運転義務違反」となるケースについて、「個別具体的に見て、交通の危険に結びつくような場合」としている。たとえば、「チャリスマホ」で前方を見ていなかったため、実際に事故を起こしてしまった場合が当てはまるという。NHKの報道のほうが、より正確だといえそうだ。
ただし、各都道府県の道路交通規則では、自転車運転者の遵守事項を定めており、そのなかに「自転車を運転するときは、携帯電話での通話や画面を見ながら運転してはならない」という規定がある(道路交通法71条6号、各都道府県道路交通規則)。
つまり、チャリスマホをしても、事故を起こさなければ、道交法施行令の「危険行為」にはあたらないといえるのだが、各都道府県の道路交通規則には違反してしまうというわけだ。
警察庁は、電子政府サイトで、道交法施行令の改正案について説明するとともに、パブリックコメントを募集している。意見がある人は、コメントを書き込んでみてもいいだろう。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120140018
(弁護士ドットコムニュース)