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忘年会で飲み過ぎて駅のホームで「ゲロ」 嘔吐者の「法的責任」はどうなる?

2014年12月13日 13:01  弁護士ドットコム

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忘年会シーズンを迎え、歓楽街は多くの人々でにぎわっている。しかし、つい飲み過ぎてしまったのか、トイレに駆け込むこともできず、電車の中や駅のホームで吐いている人を見かけることも多い。


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あるネット掲示板にも「吐いた人がゲロを放置して居なくなることが多い」という書き込みがあった。その投稿者は「吐いた人」の責任に触れ、「掃除をさせられたり、なんらかの償いをさせられるのでしょうか。法的に何らかの義務が発生するのでしょうか」という疑問を投げかけていた。



さらに、他人の吐いたものが自分の服や体にかかってしまったと憤る声も、ネット上に多数書き込まれている。電車内やホームで嘔吐すると、どのような法的問題が生じるのだろうか。大久保誠弁護士に聞いた。



●「法的責任以前に自分で後片付けを!」


「まず、法的責任以前に、自分で後片付けをしなければなりませんね。それをしないで鉄道会社が後片付けをした場合、清掃費用が生じたのであれば、賠償義務があります」



大久保弁護士はこう切り出した。



「さらに、人の衣服に嘔吐物がかかった場合は、少なくともクリーニング代を支払わなければならないでしょう。汚れの程度が酷くてクリーニングもできないようであれば、衣服の時価額の賠償をしなければなりません」



清掃費用やクリーニング代は請求されて当然だろう。では、犯罪になってしまう可能性はないだろうか。



「『酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律』というものがあります。この第4条1項は、『酩酊者が、公共の場所又は乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は過料に処する』とあります」



酔っぱらいを規制する法律なんてものがあったとは・・・。酔っ払いが嘔吐することは、この条文に引っかかるだろうか。



「いいえ。嘔吐は確かに公衆に迷惑をかける行為ではあります。しかし、『著しく粗野又は乱暴な言動』とまではいえません。



また、軽犯罪法の第1条5号には『汽車、電車・・・その他公共の乗物の中で乗客に対して著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかけた者』は、拘留又は過料に処するとあります。こちらも同様です。ですから、電車ホームなどで吐いたとしても、犯罪が成立することはないでしょうね」



いずれにせよ、世の酔っ払い諸君には「吐くまで飲むな」と言いたい。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/