オンライン旅行会社のエクスペディアが発表した、世界25か国の「有給休暇消化率」調査。2014年版によると、日本は6年連続ワーストの汚名を返上して24位になったという。代わりに最下位となったのは、お隣の韓国だ。
この結果について調査元は、日本の上司の2人に1人が「有休消化に対して協力的」であり、2020年までに有休消化率を70%にする「政府の新成長戦略」が功を奏しているかもしれないと評価している。しかしこのウラには、韓国が「最下位」になっても不思議ではないワケがあったようだ。
会社は「お金を払って働いてもらった方がいい」
実は韓国には、「未消化の有休を買い取ってもらえる制度がある」という情報がある。日本と韓国の有休取得率の差はわずか2%に過ぎないが、もしそうだとすれば、未消化のまま何も報われない日本人の悲しさが際立つことになる。
韓国の労働法に詳しい芝パーク総合法律事務所の高初輔弁護士は、キャリコネニュースの取材に対し、
「たしかに韓国では労働者の有休買取請求権が法律で認められています」
と話す。韓国では、年度内に使い切れなかった有休を使用者に買い取ってもらうことが原則として保障されており、使用者側にも「休まれるよりもお金を払って働いてもらった方がいい」という感覚があるという。
そうした中、2012年に韓国の労働基準法に当たる勤労基準法が改正され、有休を買い取ってもらうのではなく、消化するよう促進する条文ができた。
その内容は、有休使用期間が終了する6か月前を基準に、10日以内に使用者が未使用の有休日数を労働者に通知し、労働者に有休を使うよう促せば未消化有休の買い取り義務はない、とするものだ。
労働者も「休むよりもお金をもらった方がいい」
しかし、改正の効果はあまり出ておらず、消化率が高まらないまま買い取りを続ける企業も少なくないようだ。その理由について高弁護士は、
「使用者側が有休取得を促進しなくても罰せられることはないため、まだ法律がそれほど浸透していないのが現状です。一部の労働者からも、『休むよりもお金をもらった方がいい』といった声が出ています。そうしたことが今回のワースト有休消化率につながったとも言えます」
と説明する。また、韓国人も日本人同様、他人の目を気にする国民性のため、なかなか有休を取りたがらない傾向があるという。今回の調査でも、有休を取る際に罪悪感を持つ割合は、最下位が日本で26%、次が韓国の24%だった。
今回は韓国がワーストとなったが、来年以降はどうなるかわからない。高弁護士は、
「日本でも国が有給取得促進策を打っていますが、韓国のように消化率を上げるために法律を改正するという段階までは行っていません。今後、韓国で法律が浸透すれば、日本が再び最下位になるということもあると思います」
と話していた。
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