フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトンというワールドチャンピオン経験者ふたりとともに2015年シーズンのF1を戦うことが決定したマクラーレン・ホンダ。ドライバーの実力、実績は申し分ないとなると、その成功のカギはやはりホンダ製パワーユニット(PU)の戦闘力次第と言っても過言ではないだろう。そして、12月12日発売のオートスポーツNo.1396では、そのホンダ製PUが「メルセデス製PUと酷似している」と報じている。
2014年のF1で圧倒的なパフォーマンスを誇ったのは、メルセデスベンツ製パワーユニット『PU106A Hybrid』。メルセデスF1チームのダブルタイトル獲得にとどまらず、ウイリアムズをコンストラクターズランキング3位に押し上げることに大きく貢献したのは言うまでもない。
そのメルセデス製パワーユニットの最大の特徴は、今季から採用されたターボチャージャーユニットのレイアウトにあると言われている。
たとえばルノーは、セオリーどおりエンジン後方にタービンとコンプレッサーをまとめて配置しているのに対して、メルセデスは“コンプレッサーをエンジン前部”、“タービンをエンジン後部”と引き離してレイアウトする『スプリット・ターボ方式』を採用。これがインタークーラーの小型化や吸気温度、マシン重量バランスなどに効果をもたらし、他を寄せ付けぬパフォーマンスにつながったと言われている。
そんな中、アブダビGP後に行われたF1合同テストでは、初めて公の場でホンダ製パワーユニットを搭載した車両『MP4-29H/1X1』が走った。初テスト(2日間)の周回数が“わずか5周”にとどまったことはすでに多くのメディアでも報じられているが、オートスポーツNo.1396では、そのホンダ製PUの構造──エアボックスやミッションケースの形状など「メルセデス製パワーユニットと酷似する点が数多くある」ことに着目し、興味深い検証を行っている。
さらにこの中では、「当初、ホンダはルノーと同じやり方を考えていたが、メルセデスの手法を見てスプリット・ターボ方式に切り替えた」というマクラーレンのエンジニアの証言も掲載している。
そうした理由によるものだろうか。イギリス人のベテランF1ジャーナリストは「来季のホンダが、ルノー、フェラーリを上回る可能性」について言及している。一方で、同誌に掲載される「メルセデスのマネをしていては、ホンダは勝てない」とする元世界王者ジャック・ビルヌーブの主張も見逃すことはできない。