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「プロ野球の元選手」は民間企業で通用するか? 引退選手の「再就職」を人材会社が支援

2014年12月10日 20:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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日本のプロ野球界は、ストーブリーグまっただ中。契約更改で億を超える年俸を手にする選手がいる一方で、戦力外通告を受けてひっそりと球界を去る選手も数多くいる。

そうした引退後の選手たちの「セカンドキャリア」を支援しようと、12月4日にスタートしたサービスが「イーキャリアNEXTFIELD」だ。転職サイトの運営などを行うSBヒューマンキャピタルが日本プロ野球選手会と提携し、選手たちの総合的な就職支援を行っていくという。

小田急百貨店やラルフローレンなど120社が参画

今オフで「戦力外通告」を受けた約120人の中には,01年の最多勝・藤井秀悟投手や、00年の本塁打王・中村紀洋内野手ら過去の活躍選手も含まれる。ましてや、一軍に定着できずに引退する選手にとって、他球団との契約は限りなく狭き門なのが現状だ。

独立リーグや球団職員という道もあるが、引退選手のうち毎年約3割は球界以外での再就職先を探すしかない。「イーキャリアNEXTFIELD」のプロジェクトリーダーを担当するSBヒューマンキャピタルの鈴木奨平氏は、

「選手会からも『引退後のセカンドキャリアの支援体制が整っていない』という危機感の声があがっていたため、今回のサービス開始に至りました」

と明かす。現時点では流通業界の小田急百貨店やローソン、アパレルのラルフローレンなど幅広い業種の約120社が参画中だ。選手は選手会を通じて登録し、すでに数人の選手が転職エージェントとの面談を済ませている。また、企業、選手ともに無料で利用できる。

募集は営業や販売・サービスといった職種が多い。これまでも保険会社や不動産、メーカーなどで営業職に就く引退選手も少なくなかった。鈴木氏は、スポーツ選手の目標達成に対するプロ意識の強さが、そうした職業に向いているのではないかという。

「体育会系の学生が好まれる理由もそうですが、プロ野球選手は若いうちから『目標達成』への強い意識を持っており、厳しい競争を勝ち抜いてきた実績があります。そうしたメンタリティやポテンシャルは、一般企業でも活かせるはずです」

嶋捕手「プロで培った能力は必ず社会でも生かせるはず」

引退選手の中には、一般企業への就職以外を希望する人もいるだろうが、「イーキャリアNEXTFIELD」では、そのような選手の支援も行っていくのだという。

「例えば、面談を通じ、選手が起業を本気で希望されるということであれば、会計や法務に関する専門家の紹介など、可能な限りの支援ができればと思っています」

現時点では2014年の引退選手のみの支援だが、この試みがうまくいけば、過去の引退選手や他種目のスポーツ選手の引退後を支援するサービスに発展するかもしれない。

現役選手たちもこの取り組みに期待を寄せている。労働組合日本プロ野球選手会の会長を務める楽天イーグルス・嶋基宏捕手は、

「先輩たちの体験も財産にしながら、このサイトを通じ、プロで培った能力は必ず社会でも活かせるはずだと背中を押してくれる企業の方々が増えていくことを望んでやみません」

とコメント。一般社団法人日本プロ野球選手会の理事長を務める広島東洋カープ・東出輝裕内野手も、

「球界全体で『帰りのことは心配するな、最善を尽くした選手には社会でも道がたくさんある』と言える仕組みづくりは、若者が片道切符で飛び込める魅力的な場であるための条件であると信じます」

と歓迎している。

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