2014年12月10日 12:51 弁護士ドットコム
女子高生(JK)による「リフレ」(簡易マッサージ)や「お散歩」などの密着サービスを売りにした「JKビジネス」。風俗店ではないものの、女子高生による過激なサービスが問題になるケースがめだっている。
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これまで警視庁は、JKビジネスで働く女子高生について、「18歳未満」の場合は補導の対象としてきた。つまり、女子高生でも18歳になっていれば補導されず、「18歳JK」はグレーゾーンとされてきた。しかし来年からは「18歳になった高校3年生」も、補導対象に含める方針なのだと報じられた。
「18禁」という言葉が一般化しているように、18歳になれば性や労働について、法令上のさまざまな制限がなくなるイメージがある。それにもかかわらず、18歳に達しているのに「女子高生」というだけで補導の対象になるというのは、おかしくないだろうか。なぜ「18歳JK」も補導されるのか。警察官僚・警視庁刑事としての経歴をもつ澤井康生弁護士に聞いた。
「少年法と少年警察活動規則により、『20歳未満の不良行為少年』については、補導できることになっています。
不良少年とは、犯罪を犯したわけではないけれど、飲酒・喫煙・深夜徘徊などの不良行為をしている少年・少女をさします。
つまり、法律上は『20歳未満』の不良行為少年・少女であれば、高校生であろうとなかろうと補導することができるわけです」
もともと20歳未満であれば補導できるのに、運用上、18歳未満を対象としていたというわけだ。今回、高校生だけとはいえ、18歳にも運用を拡大した狙いはなんだろうか。
「これまで、JKビジネスに関与していた少女は、あくまで被害者として保護されるだけでした。しかし、保護するだけでは、実効性がありませんでした。
そこで、少女の就労自体を阻止するため、警視庁は2013年年4月から、18歳未満の少女が関与するJKビジネスを『不健全就労』として、補導対象に指定することにしたのです。
しかし、実際に運用してみるとJKビジネスで就労しているのは18歳の高校生がほとんどであり、18歳未満の者は多くないという事実が判明したのです。
そのため、やむなく補導対象を18歳の高校生にまで拡大することになったのです」
「このように、もともと法律の規定では20歳未満を補導できるのに、運用で18歳までを対象としてきただけなので、法的には18歳の女子高生を補導対象としても問題ありません」
では、同じ18歳でも「女子高生」と「そうでない少女」を区別している点は、問題ないのだろうか。
「18歳のうち高校生だけを対象とするのは、18歳のうちJKビジネスで就労しているのが、現役の高校生だからです。
つまり、高校生でない者は補導の必要がないことからの結論であり、この点についても、法的には何ら問題はありません」
澤井弁護士はこのように分析していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。弁護士でありながらMBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所で非常勤裁判官も兼任するなど幅広い分野で活躍。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:弁護士法人海星事務所東京事務所
事務所URL:http://kaisei.tokyo/