お仕事としてPCサポートをする人はもちろんのこと、ちょっとパソコンに詳しいという皆さんにとっても、一番悩ましい相手は「身内」でしょう。両親や親戚、友人や同僚、上司といった人たちが、
「親しいんだから、タダでサポートしてくれるよね!」
と言いながら、無理難題をふっかけてくることはよくある話です。というわけで、ワタクシゴトではありますが、我が家における身内サポートの例を。(文:光明隠歌)
なぜか「年賀状印刷」のチラシを手にする母
この時期になると、たいてい実家から電話がかかってきます。
「お母さんだけどー、年賀状の季節になったんだけどねー」
要するに、年賀状を作って欲しいという依頼です。作り方を教えること、早や10年。ようやく住所録ソフトに送り先の宛名を入力する方法と、その宛名をソフトから出力する方法だけは覚えてくれました。
しかし、裏の絵柄をどうやって探すのか、それをどうやってソフトに取り込むのか、さらにそれにひとこと追記する方法がわからんと、そういうことです。もちろん毎回教えているのですが、1年経つと忘れてしまいます。
実の親ゆえ、こういう頼みは断りにくいのです。これも親孝行というわけで、実家に帰省することになりました。親からすると、パソコン関係に一番詳しいのが娘の私であり、息子たちはそんなに得意じゃない上に、教え方が下手くそで分かりにくいというのもあるかもしれません。うん、私は仕事でやってるからね!
実家に戻ると、母が用意していたのは「年賀状印刷を承ります」と書かれたチラシ。この中に、きっと好みの絵柄があるのですね。
「あのね。お母さんね。この部分はこういうのがいいんだけど、これの書体が嫌なのね。で、書体はこんなのがいいんだけど、言葉は別のこっちのほうがいいのね。で、色はこの色じゃなくてこれっぽいのがいいかなって思うんだけど」
一般のお客様は「ソフトの使い方」まで
ちょっと待って。去年までは「要望に近いイラストをサイトから探して編集できるようにして欲しい」って話だったじゃんか。
母は「一生懸命探したんだけど、ダウンロードとか押すと503とかっていう英語のページしか出てこなかったりするの」と言います。会員サービスのお金を払い忘れたのか、それともサイトが閉鎖したのか。
「お母さん、英語のページとか怖いから閉じちゃうんだけどね。そうするとどこで調べてたか分からなくなっちゃってね。インカちゃん(私)、イラスト描けるでしょ?」
というわけで、結局1から親用の年賀状を作る羽目になったのでした。しかし、パソコンだとイラストの色を好きなものに変えられることや、レイヤーを重ねれば別の画像を追加できることなどを教えてしまったのが災いしました。
「ここはもう少し青っぽく……そんな濃いのイヤ! もう少し薄く! じゃあ、ここに判子押した絵って入れられない? 『2015年元旦』みたいな、簡単なのでいいんだけど」
そんな無茶苦茶な要求を受けつつ、2時間ちょっと。「これでいいですか、母上様」と聞くと、「うん、いいわ。さすがインカちゃんね! なんでもできるねえ」とお褒めの言葉。
うん、これも仕事の一つだからさあ。でも一般の方がPCサポーターに頼むのは、年賀状ソフトの基本的な使い方と、すでにあるイラストに文字を追加する方法くらいまでにしてくださいね。「年賀状のイラスト面作成」は、通常は受け付けておりません。
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