新卒学生が会員登録をすると、企業から「一緒に肉を食べに行きませんか?」とスカウトが届く――。そんな新しい形の新卒就活サイト「ニクリーチ2016」が12月9日にオープンした。
「ニクリーチ」はもともと、ビズリーチが自社採用のために企画したサイト。昨年は他社に公開はされていなかったが、2年目の今年は他のIT企業にも開放する形でオープンする。その意図を同社CTOの竹内真氏に聞いた。
「IT業界に優秀な人材を多く引き込みたい」
ビズリーチは昨年の「ニクリーチ」で、2015年卒の大学生を12人採用できたと竹内氏は明かす。登録学生数は約1100人で、早稲田大学(117人)、慶應大学(116人)、東京大学(83人)など有名大学学生から多くの登録があった。
こうした新しいウェブサービスを使って就活してみようという学生は「情報感度が高い」ことが多く、「IT企業向き」の学生が多い印象だったという。
「もちろん当社でも、ニクリーチで採用を行います。昨年の実績では非常に優秀な学生が採用出来た。であれば当社だけに閉じるのはもったいない。企業・学生ともに大きな母集団を獲得できれば、サイトとしても進化できると判断しました」
今年の「ニクリーチ2016」は、企業も学生も利用はすべて無料だ。学生は「ニクリーチ履歴書」を登録すれば、企業に「お肉をおねだり」できる。企業は会ってみたい学生に「ランチスカウト」「ディナースカウト」などを送信でき、新卒採用に向けたマッチングの場を得られるという仕組みだ。
すでにサイトではサイバーエージェント、グリー、カヤックといった上場企業からベンチャー企業まで約30社の参加が発表されている。竹内氏は、IT企業向けに幅広く「ニクリーチ」を開放した理由についてこう語る。
「IT大手から、大手就活サイトにコストの問題で掲載できないITベンチャーまで、業界全体の盛り上がりを演出し、優秀な人材を多く引き込みたい。IT業界に行きたいという学生に『選択肢』を与えてあげたいという思いも強いです」
「ニクリーチ」も新卒エンジニアが開発
学生にとっても、有名IT以外の企業を知るきっかけになる。そのうえでお肉をごちそうしてもらえるとなれば、メリットに感じる人も多いだろう。
最近では新卒採用の形も変わりつつある。2016年卒からは採用広報の解禁日が3月に繰り下げになるが、各社はインターンの開催を増やすなど「青田買い」を始めている。学生からも、「逆に就活準備が早まっている」との声もあがっている。
特にIT業界では、クラウドワークスが8月から採用を前提としたインターンを開催したり、ドワンゴが新卒学生から継続して受験料を徴収することを発表したりするなど、経団連のガイドラインにとらわれない動きが活発だ。竹内氏も、
「従来の大企業を中心とした経団連に対抗するように、若いIT企業でそうした新しい動きがどんどん出てくるのは採用手法が広がり、面白いと思います」
と期待を寄せる。ちなみにこの「ニクリーチ2016」も、ビズリーチの新卒エンジニア・荒井利晃氏がほぼ1人で開発したそうだ。そうした優秀なエンジニアの卵は、「ニクリーチ」でもランチやディナーのお誘いが引く手あまた、ということになるかもしれない。
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