2014年12月08日 16:22 弁護士ドットコム
人気俳優の西島秀俊さんが11月に結婚を発表し、女性ファンたちに衝撃を与えた。西島さんといえば、以前から「結婚相手の条件が厳しすぎる」ということが話題となっていた。今回、その条件をクリアしたとされる相手の女性について、「完璧な彼女」という意味を込めて「プロ彼女」と呼ぶ声もあるほどだ。
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週刊誌「女性自身」が報じた、西島さんの「結婚の7条件」は以下の通りだ。
・仕事のワガママは許すこと
・映画鑑賞について行かない
・目標を持ち、一生懸命な女性
・“いつも一緒”を求めない
・女の心情の理解を求めない
・メールの返信がなくてもOK
・1カ月半会話なしでも我慢すること
特に厳しいといえるのが、「1カ月半会話なしでも我慢すること」。ツイッター上では「西島さんなら許される」といった声がある一方、「1カ月半会話なしはひどい」「夫婦の意味があるのか」といった意見もあった。
「惚れた弱み」と言ってしまえばそれまでだが、相手から結婚の条件を付けられたとき、どんなにひどい条件でも、守らないければならないのだろうか。たとえば、今回のように「1カ月半会話なしでも我慢すること」を守れなかったら、離婚されても仕方がないのだろうか。男女の法律問題にくわしい堀井亜生弁護士に聞いた。
「今回西島さんが課したといわれている『結婚の条件』は、仮に妻となる女性が、条件を理解した上で結婚したとしても、単なる当事者の『約束』に過ぎません。
これを破ったからと言って、離婚になるまでの法律上の拘束力はないと考えられます」
堀井弁護士はこう述べる。なぜ、拘束力がない「約束」だと言えるのだろうか。
「人の行動は法律で強制できるものではないでしょう。約束を破ったからすぐに夫婦関係が破綻するわけでもありません。また、『仕事上のワガママ』というのが何なのか、約束が破られたかどうかを判断しづらい点も問題です」
契約書など、キチンと文書の形にしていた場合はどうだろう。
「もし、婚前契約書などで当事者が合意して文書にしたとしても、同様に法律上の拘束力はありません。
このように結婚条件は単なる当事者の『約束』にすぎず、法律上の拘束力もないため、結婚後守らなくても離婚原因にはなりません」
「気をつけなければいけないのは、離婚で争いになった場合に、結婚するときに厳しい条件を課した夫のほうが、婚姻生活中、自分勝手であったと推測されてしまうことです。
『自分勝手な条件を守れないから離婚という夫のほうが問題』と判断される可能性が高いでしょう」
つまり、こうした「条件」をつけることは、争いになったときに、自分の首を絞めることになる可能性もあるわけだ。
「ちなみに、結婚だけが目的という女性であればあるほど、結婚までは、自分を抑えて彼の言いなりになる傾向があります。
『厳しい条件を課してクリアした女性だから』と安心して結婚すると、結婚後に豹変し、痛い目を見ることも多いです。
プロ彼女が、結婚後も『プロ妻』に徹してくれればいいのですが、なかなかそうはいかないのが現実です。彼に愛情があれば、『連絡をとりたい』『気持ちをわかってほしい』という感情が湧くのが当然です。
いくら彼を理解しようとしても、その感情は完全に抑えることは難しいので、恋人同士ケンカをしてしまうのです。厳しい条件をクリアできる女性というのは、愛情がないことの裏返しだということも、男性は理解する必要があります」
堀井弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
堀井 亜生(ほりい・あおい)弁護士
第一東京弁護士会所属 「ホンマでっかTV!?」の法律評論家としてレギュラー出演。その他にも「とくダネ!」「ノンストップ!」などメディアに多数出演。著書に「フラクタル法律事務所の離婚カウンセリング~答えが出るノート~」がある。
事務所名:弁護士法人フラクタル法律事務所
事務所URL:http://www.fractal-law.net/