2014年12月08日 12:41 弁護士ドットコム
株式市場が活気を取り戻している。東京取引市場の日経平均株価は12月8日午前、7年4カ月ぶりに1万8000円台に乗せた。株価の上昇で、株の取引に関心をもつ人が増えている。金融広報中央委員会の調査によれば、今後保有を希望する金融商品として「株式」をあげた世帯は9.1%で、7年ぶりの高水準なのだという。
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株式の魅力は、値上がりした場合に売却益が得られることだが、もう一つ、株主として「配当」が得られる可能性があるという点もある。この配当については、税金の申告方法が3種類あって、支払う税金の額が変わってくるという。それぞれ、どのような違いがあるのだろうか。野口五丈税理士に聞いた。
「配当金の税金の支払方法は、3種類あります。『源泉徴収のみで終了する』『配当控除の適用を受ける』『損益通算』の3つです。
それぞれメリットとデメリットがあり、選ぶ方法によって配当金の税額も異なってくるので、慎重に判断しましょう」
野口税理士はこう述べる。それぞれの違いを説明してもらおう。
「何も手続きをしないと、配当金を受け取る際に、税金を『源泉徴収』されます。
たとえば、配当金が10万円出される場合、税金2万円が源泉徴収で差し引かれ、8万円が手取りの金額となります。
確定申告が不要なので、最も簡単な配当金の税金の支払方法といえるでしょう」
面倒な手続きはしたくないという人は、源泉徴収で税金を支払うことになるようだ。手間がかかってもいいから、しっかり節税したいという人は、どうすればよいだろう。
「確定申告をする必要がありますが、『配当控除の適用』を検討してもよいでしょう。『配当控除』とは、配当金について税金が控除される制度です。
配当も含めた所得総額が年間330万円以下の人は、『配当控除』を利用すれば税率が下がります。
源泉徴収の場合、課税は一律20%です。しかし配当控除を活用した場合、所得が330万円以下であれば、最終的にかかる税率は7.2%です。195万円以下であれば、2.2%に抑えることができます」
「複数の証券会社を利用している人は、『損益通算』を考えてみてもよいでしょう。
『損益通算』とは、株式の売却損と株式の売却益や配当金を相殺する制度です。
たとえば、証券会社の特定口座で『源泉徴収あり』を選択している場合、証券会社Aで株式の売却損が出ていても、証券会社Bで株式の売却益や配当金が出ていれば売却益や配当金から自動的に税金が引かれてしまいます」
たしかに証券会社Aの株式で100万円儲けていても、B社で100万円の損が出ていれば、プラスマイナスはゼロ。何もしないと、こうした場合でも税金がかかってしまうというわけだ。
「こうした場合に、『損益通算』をすることで株式の売却益や配当金から引かれてしまった税金を取り戻すことができます。
この場合、『配当控除』と異なって、配当で得た利益は、他の所得とは分離して税額が計算した上で、確定申告をする必要があります。こうした課税方式を『申告分離課税』といいます。
以上を参考にして、配当金の税金を上手に節税していただければと思います」
野口税理士はこのように述べていた。
【取材協力税理士】
野口 五丈(のぐち いつたけ)税理士
スタートアップ・ベンチャー企業の支援に特化した会計事務所。会社と共に成長することをモットーとし、節税だけでなく、クラウド会計支援やベンチャーキャピタルからの資金調達、補助金申請支援(創業補助金、ものづくり補助金)を強みとする。支援実績多数。
事務所名:野口五丈公認会計士事務所
事務所URL: http://itsutake.com/
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