先週FIAが発表した2015年F1カレンダーに韓国GPが加えられていたことは驚きをもたらし、5基目のパワーユニットを使用することを許可するための策なのではないとの推測が出てきている。
FIAは3日、2015年F1暫定カレンダーを発表、9月に発表されたカレンダー案に韓国GPが加わり、開催数が21戦に拡大することを明らかにした。
韓国GPは、「確認中」とのただし書きが添えられた上で、スペインGPと連戦の第5戦として掲載された。韓国GPは2010年から2013年まで韓国インターナショナルサーキットで開催されていたが、大幅な赤字に苦しんでいたといわれており、2014年には行われなかった。
突然のカレンダー入りに韓国GPのオーガナイザーも驚きを示し、「来年の開催は難しいとすでに伝えていたにもかかわらず、何の連絡もなくFIAは発表した」とAFPに対してコメントしている。
そのため、F1商業面のボス、バーニー・エクレストンが韓国GPを急にカレンダーに加えた理由に関して推測が持ち上がっている。
そのひとつは、年間開催数が20戦を超えるカレンダーにすることで、各チームに5基目のパワーユニットを使用することを許すためではないかという説だ。
現在のF1レギュレーションでは、来季年間開催数が20戦以内の場合、各ドライバーはシーズンの中で4基のパワーユニットしか使用できないと定められているが、21戦以上になると5基を使うことが許される。
スポーティングレギュレーション28条4には、各ドライバーはシーズン4基しか使用できないと定めた上で「選手権の開催数が当初の予定どおり20を超える場合には5基に増やされる」と付け加えられている。
この「当初の予定」という表現を、暫定カレンダーに21戦掲載されていれば、最終的に1戦減ることになったとしても5基使えるという形に解釈する者もいる。
しかし一方でFIAの関係者はそういった解釈が認められる可能性は低いと発言している。
F1カレンダーは暫定版が発表された後、開幕戦オーストラリアの前に最終版が確定する。最終版に韓国GPが含まれていなかった場合、これが「当初の予定」に入っていたと判断するのは難しい。
つまり、開幕戦がスタートする時点で公式スケジュールに21戦以上なければ5基目のエンジンが使用できる保証はないということだ。
今年新パワーユニットが採用され、19戦の中で5基で戦わなければならないなか、信頼性のトラブルが相次ぎ苦労したチームが多数あった。2015年に20戦を4基で戦うことになれば、より難しい状況になる。
韓国GPの開催が実現しなくても、エクレストンは、今回5基目のパワーユニット使用の可能性を示したことで、あと1戦他のレースを追加することに対してチームから同意を得ることができるかもしれない。