アイデムの「人と仕事研究所」は12月3日、「大学3年生・大学院1年生の就職活動の実態」の調査結果を発表した。就活開始は12月から3月に繰り下げになったが、逆に就活準備が「早くなっている」ことがわかった。
対象は2016年3月卒業予定で、民間企業への就職を希望している男女445人。2014年11月1日の時点では、75.5%の学生が就活について「準備活動段階」だと答えた。昨年同時期に「準備活動段階」だった学生は60.7%で、約15%増加している。
企業の思惑「学生とのつながりを早期に取りたい」
具体的に行っている就職活動の準備・対策としては、最も多かったのが「就活ナビサイトへの登録」(85.2%)。続いて「キャリアセンターの就職活動ガイダンス、セミナーへの参加」(57.4%)、「自己分析」(45.6%)、「インターンシップ」(44.5%)という順となっている。
特にインターンシップに取り組む学生の割合は、前年同時期の調査(22.7%)から倍増している。この傾向について、アイデム人の仕事研究所の古橋孝美氏はこう分析している。
「すでに『企業からイベントや選考の案内など接触があった』という学生も6割おり、就職活動時期の繰り下げで、学生とのつながりを早期に取りたい企業の思惑も見えてきます。売り手市場となった影響か、学生の意識がやや強気になっているのも印象的です」
もともと、就職活動開始時期の繰り下げは「学業に専念してもらうため」とされている。しかし、実際に繰り下げで「専念できると思う」と回答した学生は、わずか13.9%にすぎない。
逆に「専念できると思わない」(50.3%)、「就職活動の開始時期と学業に専念できるかは関係ない」(22.5%)という学生が7割を超えている。多くの学生は、就活開始時期が繰り下がっても、学業の専念にはつながらないと考えているようだ。