ビジネスホテルの勤務形態は、2もしくは3交代制のシフト勤務のところが多いです。支配人は毎月、アルバイトに勤務できる日にちと時間帯を提出ししてもらい、それをもとにシフトを組んでいました。
ですが、「何事も経験だから」と、私もたまにシフト作成をさせてもらう時がありました。今回は、シフトがどのようにして組まれているかをご紹介したいと思います。(文;ユズモト)
メンバー編成が悪いとサービスにムラができる
ホテルの業務マニュアルには、「モデルシフト」というものが存在します。朝番は社員2人とアルバイト2人、夜勤は社員1人とアルバイト1人、といったようなものです。
基本はこのモデルシフトに、勤務可能な社員とアルバイトさんを当てはめていくのですが、ただ機械的にシフト希望者を当てはめていけばよいというものではなく、色々なことを気にしながら組む必要があります。
1つめのコツは、「メンバー編成は大丈夫か」ということに配慮すること。モデルシフトにランダムに希望者を当てはめていったのでは、日によってサービスの質に差が出てしまう可能性があります。
ベテランばかりを入れたり、入って数か月の新人ばかり同じ時間帯に入れたりしてしまうと、働いている人数は同じでもサービスの質にムラができて、お客様に迷惑をかけることになりかねません。
そうならないように、新人がシフトインするときは、ベテランが側でサポートできるようにシフトを組むという配慮を必ずしています。相性があまり良くないアルバイト同士は、なるべく一緒にシフトに入れないことも大事です。
シフトに入れる全員をまんべんなく配置するメリット
2つめのコツは「特定の人に負担が偏ってないか」ということに配慮すること。サービスの質の高さを追求しながらシフトを組んでいくと、どうしてもベテランの人を多くシフトに入れてしまいそうになります。
ですが、実際にそんな事をしてしまうと、ベテランからは「何でこんなに私ばかり働かなきゃいけないのか」、新人からは「どうしてシフトにあまり入れてくれないのか」と不満を買うはめになってしまいます。
そのため、全員をまんべんなくバランスよくシフトに入れることも念頭におきながら、シフト作成は行われているのです。不測の事態が起きたときでも、他の人にお願いしやすくなり、リスクを下げられるというメリットもあります。
このほか、「私は週3しか入りたくないです」「子どもがいるので平日しか入れません」など個々の希望にもできる限り応じながらシフトを組むのですが、それはあくまでもシフト希望者が十分に足りている場合の話。時にはシフト希望者がモデルシフト作成に必要な人数を下回ってしまうこともあります。
そんな時は、アルバイト一人ひとりに「シフトに入ってください」とお願いするしかありません。ですが、言い方を間違えると、大切なアルバイトを失ってしまうことにもなってしまいかねないので、注意が必要です。
お願いの心がけは「北風と太陽」
前回も書いたように、「人が足りないんだから入って当たり前」と希望しない日の勤務や残業を支配人が強いた結果、どんどん人が辞めていくことになった事業所もありました。
そこでコツの3つめ。そのような事態を避けるために「シフトに入って当然」という態度で命令するのではなく、アルバイトたちに「自発的に協力しよう」と思ってもらえるような言い方でお願いをすることが大切だと、私は思っています。
例えば、「あなた、この日はシフト入ってくれないと困るんだけど!」と怒られたら、気分悪いですよね。でも「もし可能なら、1時間でも2時間でも入ってもらえるとすごく助かる!」と言われたら、「入ってあげようかな?」という気持ちになりませんか?
さらに、スケジュール調整をして勤務をしたのに「入って当然!」という態度を取られたのでは、何だか納得いかないですよね。でも「本当に助かったよ! ありがとう!」と言われたら、「こんなに感謝されるならまた協力してもいいかな」と思いませんか?
このように、相手に何かをしてもらいたいとき、無理矢理こちらの希望をきかせようとするよりも、相手に「自発的にやろう」と思ってもらう方が絶対に効果的だということを、私はシフト組みの業務を通じて学んだのでした。何だか、北風と太陽のお話みたいですね。
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