ドイツのフォルクスワーゲン・グループが、F1界に精通した人物をたて、F1プロジェクトの実現可能性を事前に調査していると、英BBCが報じている。
情報筋によれば、その人物とは、今年4月までフェラーリのチーム代表を務めていたステファノ・ドメニカリだという。彼は、今季序盤の成績不振を理由にマラネロを追われた後、フォルクスワーゲン傘下のアウディに加わっている。
彼らは、同じドイツメーカーのメルセデスがF1チャンピオン獲得によって成し得たグローバル・マーケティングの成功に刺激を受けているようだ。
しかし、実際の参入には、VWもしくはF1のトップマネジメントの変更が避けられないとの見方がある。
ポルシェの創業者、フェルディナンド・ポルシェの孫で、現在フォルクスワーゲンの監査役会長を務める大物フェルディナント・ピエヒと、F1のボス、バーニー・エクレストンは、長きにわたって難しい関係にあるといわれており、VWブランドの参入には、どちらかがそのポジションを離れる必要があるという。
VWは、今季からF1が新たなハイブリッド・ターボエンジンを導入する際に、専門の調査委員会を立ち上げて検討を行ったものの、参入しない判断を下し、以来、公の場ではその姿勢を貫いてきた。
しかし情報筋は、現在、取締役会の上級メンバーの何人かが、VWグループの既存のモータースポーツプログラムに比べて、F1のほうが世界的なプロモーションツールとしてより効果的だと考えているという。
VWグループは、現在3つの主要なモータースポーツプログラムを抱えている。アウディとポルシェがWEC(世界耐久選手権)に参戦、DTM(ドイツツーリングカー選手権)ではアウディが今年のマニュファクチャラー王座を獲得、WRC(世界ラリー選手権)ではフォルクスワーゲンがダブルタイトルを連覇している。
今年、F1でダブルタイトルを達成したメルセデスは、2014年シーズンにおけるテレビ露出の世界的広告価値が28億ドル(約3370億円)だったとされているが、専門家は、VWグループのスポーツカーとツーリングカーの同値が3000万ドル(約36億円)だとしている。
またこの情報筋は、VWグループが数年前にレッドブルからの申し入れを断っているため、F1に参入する場合は、ドイツを拠点とするオリジナルチームになるだろうと述べている。